妄想⚠
夢を見てるってわかってる夢を見てた。
あの、赤い空の世界に俺は風と一体になって飛んでいた。
どうやら夢では高所恐怖症も感じないようで空中を泳ぐように飛んでいく。
そこには木の小屋しかないと思ってたのに、立派な屋敷が建っていた。
なんか沖縄の観光地に似たような建物あった気がする…。
門も塀も屋敷も赤くて俺はいつの間にか屋敷の中の1室に浮かんでいた。
あっ!俺の守護龍の紅龍が人間の姿で赤ちゃんの世話をしてる!
紅龍の周りにはお付きの女官らしき女の人が何人もいた。
人(龍?)のこと言えないけど紅龍も赤ちゃんできたんだなぁ。
なんて思ってたら、ふと、顔を上げた紅龍と目が合った。
『ふふふ♪心配なのね?でも安心して?翔の子は4歳になるまで預かってるから』
えっ!?その赤ちゃんは俺と智くんの…!?
突風に飛ばされた俺はベッドで目が覚めた。
ぜんぶ覚えてる…。
あれって、夢じゃなかったの?
朝ご飯を食べながら夢(?)の話を智くんと雅紀と和也と潤に聞いてもらった。
雅「えっ?神隠しの子どもってその人の守護龍が育ててたの?」
和「守護龍と契約してるのなんて智と翔くらいしかいないんじゃない?」
潤「じゃあ、青龍がもう1人の子ども育ててるんだよね?」
智「俺はそんな夢、見てねぇし」
翔「あ、子どもが1人か2人かまでは見えなかったからわからないんだ」
な、なんか、4人して俺を見てくる!?
雅「翔ちゃんだからね〜」
和「翔は何でもありだから」
潤「翔だもんね。今さら驚かないよ」
智「まあ、そういうことだ」
翔「えっ?俺だけわかってないんだけど?」
智くんと雅紀と和也と潤が言うには神隠しの子どもの行方は誰も知らないんだって。
それがわかる俺は異色の存在らしい。
翔くんの心のどこかで、俺達の子どもを心配してる部分があったんだと思う。
それが眠ってる間に子どもを見に行ってたことの原動力なんだろう。
まったく、翔くんといると飽きねえわ。
翔「ねえ?智くん。俺の戸籍があるうちに、みんなで旅行に行かない?」
智「翔くんが行きたいならいいぞ」
翔「智くんって旅行とかは…」
智「無い。ずっと家にいたし」
この家を守って次代に繋げることが俺の役目だから。
もう、次代は産まれてるけど。
子ども達が家のことを理解して術や技を身につけるまで何十年もかかるし。
それをちゃんと見届けないとな。
翔「初めてなら近場の温泉がいいかな?」
智「翔くんに任せる」
翔「ところで智くんや雅紀や和也や潤って、働いてないよね?でも、買い物してるし…」
やっと気づいたのか。
俺は戸籍がないから働こうにも働けない。
なのにどうして生活できてるかというと裏技をつかってるから。
この家には当然、電気ガス水道が通ってる。
ただ、支払ってない。
正確に言うとこの家があることを人間は知らないから請求書も届かない。
俺が子どものときからそうだから両親祖父母もそれが当たり前だった。
んで、なんで金を持ってるかというと、ご先祖様が集めた絵や書や道具とか土地を必要な分だけ売ってきたから。
戸籍がないから売るときはちょっとした術をかけてるけど。
正当な所有者だから心も痛まない。
翔「そ、そうだったんだ。でも、その財産が無くなったら困らない?」
智「ふふっ♪翔くんは心配性だなぁ」
翔「だって、子孫になにも残ってなかったら生きていけないでしょ?」
智「それは絶対ないから安心してくれ」
キスで翔くんの口を封じて、伴侶との時間がはじまった♡