妄想⚠





大野さんが倒れた直後に翔さんとまーくんが帰ってきた。


ひと目で何があったか理解した翔さんは、


翔「雅紀、智くんを運んで」


雅「うん…おーちゃん大丈夫なの?」


翔「今のところは。ベッドに寝かせたら見守っててくれる?」


雅「わかったよ。翔ちゃん」


大野さんをまーくんが抱っこして大野さんの部屋に入った途端、


翔「ニノ、潤、何があったか話せ」


いつもの温和な仮面をかなぐり捨てた翔さんに俺と潤はペラペラと正直に話した。


翔「ニノ、お前はアノことを知ってるだろ。潤とのバトルは微笑ましいから様子を見てたけどさぁ、アノときの再現してるって気がつかなかったの?」


和「すみません…」


翔「この際だ、潤、この女は、潤とどういう関係か教えてくれる?」


翔さんが潤にPCをつきつけた。


前列の真ん中にトロフィーを持って笑ってる潤がいて、女は、潤の真後ろで笑っていた。


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翔さんにPCを見せられて、そこに載っている写真に目を見開いた。


その写真は、大野さんが最後に優勝したのと比べたら小さな大会だったけど、世界大会で俺が優勝したときのものだった。


その女の気持ち悪いところは日本にいる両親や俺の友人に俺の恋人だと言いふらし両親と一緒にアメリカに大会を見に来たこと。


写真を撮ったときはそんなこと知らなかったから笑顔でいられたけど。


両親をホテルの部屋まで送ったとき、当然のようにその女もついてきた。


潤「父さん、母さん、この人、知り合い?」


母「何を言ってるの?潤の恋人でしょ?」


父「わざわざ応援に来てくれたんだぞ」


潤「はぁ?こんな人知らないし新手の詐欺に引っかかったんじゃないの?」


ホテルの部屋の前の廊下でそんなことを言い合ってたらホテルマンが近づいてきた。


女「私は潤の恋人よ?忘れちゃったの?」


と言いながら俺に抱きついてきて、思わず、突き飛ばした…気持ち悪くて。


潤「俺が好きな人は大野さん…大野智だ!」


女「…お前も智と同じなのね」


聞き取れなかったけど不穏な気配を感じて、両親を部屋に押し込んだ。


刺される寸前でホテルマンに取り押さえられた女はそのままどっかに連れていかれた。


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その後は部屋にいる両親に恋人がいないこと好きな人は別にいること、あの女とは会ったこともないって説明した。


母「潤…大野智さんって潤が憧れてたダンサーだったわよね」


潤「そうだよ。2人だって知ってるだろ?」


父「男が好きだなんて…嘘なんだろう?」


潤「悪いけど俺は大野智が好きなんだ」


俺はその場で縁を切られて部屋を出された。


理解してくれるとは思わなかったけどこの日のことは忘れられなくなった。


あの女のせいとは決めつけられないけど。


両親と縁を切ることになったキッカケがあの女なのは確かなこと。


このとき、もうアメリカにいる気がなくなってしまった。


もし、また優勝できたとして同じ目に遭うのはゴメンだしと日本に帰った。


実家に戻ることができない俺はホテル暮らしを始めた。


それと同時に探偵を雇い大野さんの居場所を探してもらった。


まさか、こんな無名のダンス教室にいるとは思わなかったけど。


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まさか、潤もあの女の被害者だったとは…。


あんなに近くにいたもんだから何かの関係者とばかり思ってた。


てか、智くんの場合は元カノという薄いけど繋がりがあった。


それなのに潤のときは初対面で恋人とか…。


確かに潤の言う通りに気持ちが悪い。


翔「ちょっと考えてみるわ」


和「じゃあ料理作ってる」


潤「俺も。中途半端にしちゃったし」


翔「ケンカと言い合いは禁止な?」


和潤「は〜い」


まあ、今日は大丈夫だろうと智くんの部屋に入って雅紀にお礼を言った。


雅「翔ちゃんってば水くさ〜い」


翔「いや、雅紀を1人にしちゃったし」


雅「お礼なら翔ちゃんの話でいいよ?」


翔「雅紀?」


雅「俺の力が役に立つかもでしょ?」


翔「話すけど、無理はしないで?」


もう巻き込んだも同然の雅紀に智くんと潤の話をした。