妄想⚠





潤がこの家に住むようになって…相葉ちゃんもだけど、3ヶ月になる。


相変わらず俺は朝飯と晩飯兼ツマミを作ってるんだけど…。


和「俺が先に手伝ってるんだから邪魔しないでよ!」


潤「いいや、俺が先だ!ちょっと野菜を取りに行ってる間に割り込んで!」


翔「はいはい。潤が先だよ。ニノはこっちにおいで〜」


…こんなことが日常になってる。


俺は揉めごとが嫌いだ。手伝ってくれるのはありがたいが、正直少しうんざりしてる。


そんなある日、教室は休みで、翔くんは相葉ちゃんとデートに出かけてた。


そして、騒ぎが起こった。


潤「だから、邪魔するなってば!」


和「なにさ、潤は教室で大野さんと一緒なんだから!俺に譲るって考えはないの!」


潤「俺は大野さんとパートナーになりたいっての知ってるだろ!好きな人の傍にいたいと思うのがなんで悪い!」


和「俺だって大野さんのことずっと好きだったんだから!俺がパートナーになる!」


潤「だとしても、早い者勝ちなんだよ!」


和「はあ!?早い者勝ちなら先に大野さんを好きになった俺の勝ちじゃん!」


智「やめろー!!」


俺の気持ちを無視して言い合ってる2人に、過去が重なって…俺は意識を失った。


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子供の頃からダンスが好きだった俺を両親はダンス教室に通わせてくれた。


中学でも高校でもダンス大会を総ナメにしてきた俺は当然のように世界を目指した。


そこで問題になったのが俺の会話能力の無さと外国語が一切ダメなこと。


親友の翔くんが大学をアメリカにしてくれたから、2人で住むことを条件に両親の許しを得て俺達はアメリカに旅立った。


大学に通いながら翔くんは俺のマネージャーをしてくれてて、全く英語がわからない俺も周りが英語だらけだったのと、翔くんが根気よく教えてくれたおかげで日常会話には困らなくなった。


俺はアメリカでも数々のダンス大会を総ナメにしてきて、何よりも踊ることは俺の一部になっていた。


それと、日本にいたときはしなかった家事や料理をするようになった。


食生活もプロのダンサーには必要不可欠だと教えられたから。


翔くんが料理ができないことも俺の料理スキルを高めていった。


毎日が楽しくて周りはライバルだらけだったけどニノという仲間もできて、励ましあってダンスに取り組んでいた。


世界中の人達が参加するような大きな大会は日本でもテレビで放送された。


その大会でも優勝できた俺は、周りの出場者から祝福のハグやキスを贈られた。


数日後、一緒に住んでる翔くんと遊びにきたニノと楽しく酒を飲んでた。


そこに訪問者が来て、ニノが玄関を開けた。


「智!私という恋人がいるのに男にキスされるなんて!」


智「は?誰?」


翔「あ、智くんの元カノじゃん」


和「えっ?大野さんの元カノだったの?」


「元カノってなによ!私は今も智の恋人なんだから!テレビで男にキスされてる智に私がどれだけ恥をかかされたか!この2人も智をたぶらかした男達ね!私の智を返して!」


智「やめろー!!」


その女は隠してたナイフで翔くんを刺した。


智「翔くん!!」


和「翔さん!!」


「お前も殺してやる!消えろ!」


智「やめろってんだろ!!」


和「大野さん!?」


ニノにも襲いかかった女からナイフをもぎとったところで、俺の意識は途絶えた。


次に目を覚ましたとき…1年も経っていた。


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後から聞いた話だけど、確かにその女とは、高校のときに付き合ってた。


ただ、向こうから言い寄ってきて俺がデートもしないでダンスばかりしてたのが気に食わないと振られたのは俺のほうだった。


キスどころか手も握ってない。


果たして本当に付き合ってたのかも疑わしいくらいだ。


その程度の関係だから、すぐに忘れた。


しかし、女は俺が世界で活躍してると知ると周りに自慢しだした。


自分の恋人だと。


自分のところに戻るのを待ってると。


例の世界大会を見て俺の両親に恋人と名乗りアメリカの住所を聞き出した。


そして、あの惨状になったんだ。


ニノは、騒ぎに駆けつけた近所の住人の手を借りて女を警察につき出し、翔くんと俺は、病院に運ばれた。


幸い翔くんは脇腹を少し切っただけで、俺はナイフを掴んだ手が切れてたけど神経に異常はないと診断された。


ただ、俺は精神的な病気になり、1年もの間ずっと正気じゃなかったらしい。


覚えてないけど事情を聞きに来た警察に質問された俺は酷い発作を起こしたらしい。


その勘違い女のせいで俺は過去のことを聞いたりすると発作を起こすようになったんだ。


そのことで、俺は誰かと関わりになることを拒むようになった。


ただ、翔くんとニノは平気だった。


それで日本に帰ってから共同でダンス教室をはじめたんだ。


もちろん俺を知ってる人達は翔くんが断ってくれた。


俺は踊ることだけはやめられなかった。