妄想⚠





ベッドで智と横向きになってオレは智に抱っこされて寝る。

オレも智に抱きつきたいけど点滴が引っぱられるからダメって先生に言われた。

昼間に1つだけ智も点滴してる。

智は精神的には治ったけど栄養状態が悪くてオレと一緒に入院することになった。

智父「智!お前は!和也樣になんという怪我を負わせたんだ!」

智「悪かった」

和「大野、オレが智を許したんだ。だから、智を怒らないでよ」

智母「和くんがこう言ってるんだから。智も2度とそんなことしないでしょ?」

智「うん」

屋敷の筆頭執事の大野と大野の奥さんの百合子さんがお見舞いに来てくれた。

思ってたとおり大野が智を怒るからとめたんだけど…大野は不服そうな顔してる。

俺はもう屋敷の主人でもないのに大野は昔と変わらない。

智母「はい。和くんのゲーム。夜ふかししちゃダメよ?」

和「うん。ありがとう、百合子さん」

智「母ちゃん、俺のは?」

智母「はいはい。智はスケッチブックと鉛筆と鉛筆削りね」

智「ありがとう、母ちゃん」

智父「運んだのは私だ!」

慌てて智とオレは大野にお礼を言った。



入院生活はヒマだ。

最初は昼も眠れてたけど今はもう眠れない。

和の世話もあまりすることがなくて絵の道具を持ってきてもらった。

…予想通り父ちゃんに怒られたけど。

ベッドを起こしてゲームしてる和を含む病室をサッと描いた。

あとはずっと和を描いてた。

「智、みんなにお礼なにがいいかな?」

「退院して落ち着いたら泊まりで飲みにきてもらう?」

「そんなんでいいの?」

「だって、ゲストルーム用意したのに使ってないから」

各部屋にトイレとシャワールームがついてるゲストルームは1回使ったかな?ってくらい使ってない。

退院したら掃除とかしないとな。

料理はなににするとかお酒はなにを用意するとか和と気の早い話をしてた。

和も俺もドロドロした流動食のような食欲をそそらないものしか食べてないから、自然と自分が食べたいものの話に変わった。



智のハンバーグ食べたいー!

見た目も美味しくなさそうで食べても美味しくないドロドロばっかり!

お腹はいっぱいになるけど下剤飲んでるからすぐお腹が空く…。

お風呂も寝たままシャワーだし…智が洗ってくれるのは嬉しい♪

お互いのを手とか口とかでスるのももどかしくてたまにはいいかな?って思う。

オレは刺激物とか消化に悪いものが食べられないんだ…食事制限ってやつ。

うぅー!もっと味のするもの食べたい!

そう言ってみたらご飯にゼリーが出てきた♪

「甘いー!美味しいー!味がするー!」

「病人食のオアシスみたいだな♪」

智もオレと同じゼリー出ててもったいないからちょっとずつ食べた。



和の退院が決まった♪

先生は和の好物を紙に書いて、よく噛んだら食べられるとか、やわらかくすればいいとか注意することを丁寧に書いてくれた。

和「先生、ありがとうございました」

智「先生、お世話になりました」

先生「はい。お大事に」

両手に荷物を持って、和も持ちたいって言ったから軽いリュックをしょわせた。

病院前に並んでるタクシーで家に帰った。

俺は荷物を片づけてから冷蔵庫を覗いた。

母ちゃんがやってくれたのか冷蔵庫の食材が冷凍庫に移されてた。

「あれ?冷蔵庫からっぽだ」

「冷凍庫あさるのもなんだし買い物行くか」

「オレ、智のハンバーグが食べたい♪」

「ふふっ♪そう言うと思った」

スーパーで買い物して俺はハンバーグで和はつけあわせの野菜を茹でたりポテトサラダを作ってた。

いただきますをしてハンバーグから食べると和の目がキラキラと輝いた。

和「智のハンバーグ♪美味しいー!」

智「よかった♪よく噛んで食べて?」

和「うん♪」

智「和のポテトサラダもすごく美味い♪」

お互いの料理を褒めながら昼飯を終えた。

食後に和の好きなお茶を入れると嬉しそうに笑って飲んでくれた。

和が笑ってくれると俺も笑顔になれるんだ。