外山恒一考 | naos (TGAStudio/MOTION-R) のTGA Staff Room

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制作プロジェクト「TGAStudio(Team Get Away)」代表&Rock Band「MOTION-R」リーダーnaosが、きままにTGA内外のことを書くブログです。

長文ですが、休養中故、推敲ほとんど無しで勢いで書き
連ねた「殴り書き」です。ご了承下さい。

(2008.4註:その後外山とその周囲にはいろいろとありましたが、
この文章はできるだけ当時のままで、旧ブログから転載しています。)


*****

外山恒一に、多分私は鈴木宗男の匂いを感じていた。
それが、外山で楽しもうと思った最大の動機だった。

昔から、キャラの立つ政治家は好きだ。
その政治手法や善悪はどうであれ、そのキャラを堪能し、
生暖かく見守る。
素人が政治を楽しむにはそれがいちばん、と感じている。

5年前。
ムネオハウスのムーブメントは、そんな私の「政治家を
生暖かく見て(・∀・)ニヤニヤする」心を大いにくすぐった。
ムネオ、(辻元)キヨミ、(田中)マキコ、果ては、そ
の存在が限りなく地味なはずの共産の佐々木や、当時の
予算委員会の津島委員長までが楽しいキャラになった。
たったの2クールで消費し尽くされたムーブメントでは
あったが、京都や新宿で行われた、2ch住人主導のイベ
ントなどで、最後の最後まで堪能させて貰った。


そして、2007年。
突如現れた「政見放送で『政府転覆』を叫ぶ男」(笑)。
アニメの悪役口調で、練り込まれたコピーを次々と放ち
見た者を唖然とさせる泡沫候補。

もはや、FLASHもコラージュもナードコアMIXも不要な
ほどのクオリティの高さだった。
動画サイトで多数のMAD作品が出たが、とにかく、
元ネタの濃さと完成度の高さと簡潔さは強烈で、もはや
声ネタを分解・サンプリングしてナードコアMIXを…
なんて気にすらならないほど、外山恒一は強烈だった。


政見放送を見れば見る程、彼のしたたかな計算とスキー
ムはあちこちに溢れている。
例えば。
本当に「政府転覆」を狙うなら、本気な普通の活動家な
ら、当たり前のように地下に潜るはずである。
ところが彼は地下に潜らない。
普通のTV番組ではオンエア不可能な語り口を、公選法の
「ありのままにオンエアする」規定を利用して、堂々と
「政府転覆の陰謀を企てよう」と、アニメの悪役テイス
トという、実に的を得た口調で語りかける。

かつて、政治ネタを芸としてやった芸人はいた。
かつて、出るだけ出た泡沫候補はたくさんいた。

しかし。
ここまでのクオリティの高い「芸」と「実践」を結びつ
けたパフォーマーはいなかった。

動画サイトを通じて「動画で遊ぶこと」が浸透した、この
2007年春に、外山恒一がネット上に溢れるのは、もはや
時間の問題だった。
ここまでは、組織を持たない外山恒一にとっては、狙い通り
のスキームで掴んだ勝利だった。


彼は本気で「3万票」以上を狙っていたという。
できることなら5万票。
過去の泡沫候補の、参院選東京地方区や都知事選の得票
を物差しにすれば…。
1万票で合格ライン。
3万票で巷(ネットではない)の話題。
5万票でマスコミがこぞって食い付くプチ騒動。
10万に近づこうものなら行政まで揺るがす大騒動である。


条件は揃いつつあった。
大本命の勝利は、ちょっとメディアの記事を噛み砕けば
すぐわかるくらいに、全くの鉄板で揺るがない領域に達
していた。

私はそれを前日夜のメディア報道で再確認する。
「大勢は当日中に判明する見込み」という1行で。

メディアの予想が接戦なら「大勢の判明は未明までずれ
込む」となるからだ。

私はここで、外山恒一のスキームに乗ることを最終的に
決めた。もちろん、それまでの段階で「多分外山に入れ
ることになるだろうな」という予感はあったが。

大本命に入れても一緒。対抗に入れても死に票。

ならば「外山に入れて開票速報で(・∀・)ニヤニヤする」方が
楽しいに決まってる。

この遊びにどれだけの都民が乗るのか。
選挙の大勢を見抜き、外山で遊ぶ勇気のある都民がどれ
だけいるのか。


1万人は乗るね。
3万人乗ったら楽しいね。
5万人乗ったら馬鹿だね。
10万人乗ったらネ申だね(爆)。



そう思いながら、土曜は眠りについた。


そして当日。
午後イチで投票を済ませた私は、午後8時以降の展開を
予想し始めていた。

恐らく大本命の当確は8時台、それも多分前半に出る。
泡沫候補の票が開き、それが数字になり始めるのは恐ら
く深夜。

ならば。
その深夜のワクテカな展開をTVで楽しむ前に。


生外山を高円寺に見に行こう。


午後8時。投票が終わり、公選法の規定による「候補者
の沈黙の時間」が終わる頃。
私は高円寺南口で生外山を待った。
約300人(外山側発表(笑))の、支持者とねらーと
野次馬がごった返すその場所で。


外山が登場する。
トレーナーにでっかく「まだ反抗期」(爆)。
既に酔っぱらいwww
迎える300人の大声援(笑)。



実は外山の素はとても穏やかであり、私の予想通り、
あの政見放送が「所詮は練り込まれたスキーム」で
しかないことを証明していた。


2時間程の「生外山」は滑稽で最高に楽しい時間だった。


泡沫票が数字になり始める11時頃に家に戻る。
最初は思った程伸びない票も、徐々に伸び始める。
市町村別開票の「小笠原10票」に爆笑。
1000km以上離れた街の「同志」に乾杯。

しかし。

結果、最後の午前2時前に15000票をなんとか超えて
ワクテカはあっけなく幕を閉じた。


最低ラインの1万は超えた。
ただ、面白がるにはちょっと物足りない票数に留まった。
外山のスキームや選挙の大勢を見抜き、外山で遊んでく
れた「同志」は少なかった。残念だった。


が、これもまた選挙である。


外山はどこに向かうんだろうか。
彼は穏やかだが、少なくともビラやポスターの彼は本気
である。
300万使った壮大な売名スキームには成功した。
恐らくB級メディアは彼に食い付くだろう。

外山のスキームの本当の狙いは今月下旬の熊本市議選だ
という。
これだけの布石を打った以上、彼は全力で当選に向かっ
てのスキームを構築して、また楽しませてくれるはずで
ある。


「政府転覆」という、壮大で、実現性が薄くて、
口にするにはちょっと笑っちゃうお題目。



外山の今後も、生暖かく見守りたいと思う。