美しい連続模様 アンデルセン童話 ヒナギク 5日目 | のんびり楽しく

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ヒナギク、5日目!アウトライン完成です爆笑

この鳥はヒバリみたい。

アンデルセン童話、多分子供の頃に読んだはずだけど覚えてなくて検索しました。

少し悲しいお話でした。

興味ある方は読んでみてください。

少し長いので興味なければ飛ばしてね。

田舎の道のすぐわきに、一軒の別荘がありました。

この庭には、シャクヤクやチューリップなどがきれいに咲いていました。

チューリップは自分がキレイだということを、よく知っていましたので、ピーンと背中を伸ばしていましたし、シャクヤクはバラよりも大きくなろうと、うんと膨れ上がっていました。

そして、さくの外の芝生の中に1本の白いヒナギクがさいていました。

ヒナギクは、目立たないからって、ばかにされる花だとか、ちっとも考えていませんでした。

いつも暖かい太陽の方を向き、空でさえずるヒバリの歌をうっとりと聞いていたのでした。

あるとき、ヒバリはチューリップやシャクヤクのところではなく、ヒナギクのところに下りてきてキスをしてくれました!

「なんと、やわらかい土の中にある、可愛らしい小さな花だろう…。

 心は金で、着物は銀だよ」

ヒナギクの真ん中は金に見えて、その回りの小さな花びらは、銀のように輝いていました。

ヒナギクはどんなに幸せだったことでしょう。幸せそうなヒナギクを見たチューリップは、前よりも腹を立てて、真っ赤になっていました。

その時、ひとりの女の子が、大きなナイフを持って庭に入ってきました。

まっすぐにチューリップの方へいくとチューリップを切り取ってしまいました。

「まあ、なんと恐ろしいことを…」ヒナギクはため息をつきました。


あくる朝、ヒナギクが幸せそうに白い花びらを、朝の空気と光にむけて広げたとき、悲しそうなヒバリの声が聞こえてきました。なんと!捕まえられて一つの籠に入れられていたのです。ヒバリは自由に空を飛びまわっていたことを思い出し歌っていました。でも少しも楽しげではありません。

ヒナギクはなんとかしてあげたいと思いましたが、どうすることもできません。

ちょうどその時、小さい男の子が2人、ナイフを持ってやってきました。

大きくて鋭いナイフです。「ここのきれいな芝生を、あのヒバリに持っていこうよ…」

ヒナギクの回りを深く切り始めました。ヒナギクはその真ん中に立っていました。

「こんな花、引っこ抜いてしまえよ…」

もう1人の男の子は、花はキレイに咲いてるから、そのまま持っていこうと言いました。

ヒナギクは会いたかったヒバリの鳥かごへ入ることができました。でも、そこにいたのは大声でなげき悲しむヒバリでした。ヒナギクは口を聞くことができませんでしたので、なぐさめの言葉をかけてあげることもできません。

「ここには、水がありやしない…飲み水もくれないで、出かけてしまった!

ぼくの喉は焼け付くようだよ。空気はひどく重苦しい。」 

ヒバリは少しでもすがすがしい気持ちになりたくって、小さいくちばしを冷たくなってしまった芝生の中にさしこみました。そのとき、ヒナギクに気付きました。

そしてキスをして、言いました。

「可愛そうに…キミもこの中で、しおれてしまうしかないんだね。

人間はこのチョットばかりの草とキミを全世界にしなさい…ていうわけさ。」

ひばりは焼け付くような喉のかわきで、苦しさのあまり、草をひっかきましたが、決してヒナギクにはさわりませんでした。



日が暮れて、晩になるころ、まだ誰もお水を持ってきてくれませんでした。

やがてヒバリはヒナギクにもたれかかり、ついにヒバリの心臓は…はじけてしまいました。

ヒナギクも病気になり、嘆き苦しみ、地面のほうへ低くうなだれました。

翌朝になって、やっと男の子たちがやってきました。ヒバリが死んでいるのを悲しみ、いっぱい涙を流しながらお墓をつくりました。赤いキレイな箱に入れられて王様のように、立派に葬られたのです。

ヒバリが生きて歌っていたときには、ヒバリのことなんか忘れ、苦しい思いをさせたのに、今になってヒバリは花で飾られて、いっぱい涙を流してもらったのです。

けれど、鳥籠と芝とヒナギクは、道路の土ほこりの中にほうり出されました。


ヒナギクのことを思い出すものは、一人もいませんでした。

このヒナギクこそ、あの小さいヒバリのことを誰よりも思いやり、慰めていたのに…。


『ヒナギク』アンデルセン童話より