※出典元
http://www.san-kiso.com/sannka/zennti.html
http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/zenchitaiban.html

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一般的に受精卵は子宮底部近く(子宮の一番奥のほう)に着床し、着床した部分に胎盤が形成されます。

胎盤の位置が通常よりも低く、胎盤が子宮の入り口にかぶさって、ふたをしてしまっていることを「前置胎盤」といいます。全分娩の0.3~0.6%の頻度で起きます。

子宮の入り口(内子宮口)をふさいでいるので通常の出産ができなくなります。
胎児にとっての出口が胎盤でふさがれているわけで、基本的には帝王切開で胎児を出すことになります。

◆胎盤がどのくらい内子宮口をふさいでいるかで次の3つに分けられます
1.全前置胎盤(完全に内子宮口をふさいでいる、もっとも重症のタイプ)
2.部分(一部)前置胎盤(ほんの少しだけふさいでいるタイプ)
3.辺縁前置胎盤(内子宮口に胎盤の端っこがかかっているタイプ、軽症になります)

◆前置胎盤が異常妊娠とされる理由
1.正常な経膣分娩が困難であること
2.妊娠中に大出血を起こすことがあること
3.癒着胎盤などの合併症があること

前置胎盤のうち5~10%では、胎盤と子宮が癒着して胎盤がはがれない「前置癒着胎盤」となる可能性もあります。
前置胎盤がハイリスクなのは妊娠中、出産中、産後とあらゆる時期で十分な注意が必要となるからです。

◆前置胎盤になりやすい人とは
1.初産婦より経産婦
2.帝王切開の既往、人工妊娠中絶術の既往、子宮筋腫核出術など子宮の手術歴
3.多胎妊娠、胎盤の形態異常
4.喫煙、高齢、前置胎盤の既往

妊娠や出産、手術などにより着床部位の子宮内膜に炎症が起こったり、固くなったり(瘢痕化)して損傷が生じ、ちゃんとした着床部位が減少するため、相対的に子宮の下の方に着床する可能性が高くなると考えられます。

(私の場合は昨年受けた子宮筋腫核出術と高齢妊娠の2つが当てはまります・・ガーン


◆前置胎盤の症状は?
典型的な症状は、妊娠中に起こる痛みのない突発的な性器出血です。
最初は少ない量の出血がありますが、これを「予告出血」や「警告出血」と呼び、その後大出血が発生する可能性があります。
これらの症状は、お腹が大きくなり張りやすくなる妊娠28週以降に増加するといわれています。
また、前置胎盤は胎盤が子宮の下の方にあるので、胎児の頭が骨盤の中に入り込めなくて高い位置に胎児が存在するようになり、骨盤位などの胎位の異常も起きやすくなります。


◆前置胎盤の診断について
前置胎盤の診断や分類には、経腟超音波検査を用います。
妊娠の早い時期に前置胎盤と診断されても、妊娠が進み子宮が大きくなると徐々に胎盤が上にあがり、最終的には前置胎盤でなくなる例が多くあります。
このため、妊娠中期は「前置胎盤疑い」として、妊娠31週末までに診断します。
前置胎盤と診断が確定した場合で癒着胎盤を疑われる場合には、追加でMRIなどの精密検査が必要となることがあります。


◆前置胎盤の治療は?
☆妊娠中
・前置胎盤では妊娠28週以降に性器出血頻度が徐々に増加し、人為的早産となりやすいため、妊娠31週末までに前置胎盤か否かの診断をつけます。
・もし他院に管理を依頼する場合には、妊娠32週までに紹介受診が完了するようにします。
・基本的には安静にして無理な運動などは控えて過ごし、出血があれば入院管理となり、安静と必要に応じて子宮収縮抑制剤を投与して出血を防ぎます。
・血がない場合は外来管理を行いますが、出血の可能性を十分に説明し緊急入院がいつでもできるように準備をしておきます。
・出血がなくても妊娠30週頃には安静目的で入院管理を行うことが多いです。

☆分娩~産褥
・分娩はほとんどが帝王切開術になります。
・出血が多くなければ可能な限り、胎児が体外生活が可能な時期まで妊娠を延長します。妊娠経過中に大量出血となった場合は緊急の帝王切開術が行われます。
・臨月まで出血がなく経過した場合は日時を決めて予定帝王切開術を行います。大量出血に対する準備として自分の血液をあらかじめ採取し保存しておく自己血貯血が行われます。しかし、自己血輸血だけでは足りないことが多いので十分な量の輸血の確保は必須です。
・癒着胎盤が高度で剥離困難であるときは、胎盤をそのまま残し抗癌剤などで胎盤を縮小させる方法もあります。また剥離はできても、その後止血困難な場合は救命目的の子宮全摘術などを止む得ず行うこともあります。
・前置胎盤は非常にリスクが高く、産科医、麻酔科医、小児科医と沢山のスタッフも必要なため、NICU(新生児集中治療室)やMFICU(母体胎児集中治療室)のある総合病院での対応となります。

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山王は今年NICUが出来ましたが、MFICUはないのでそれも他病院へ移ることになるかもしれない理由の1つなのかな・・。

でもまだ21週。
これから子宮の成長とともに胎盤の位置も上がる可能性がゼロではないので、なんとか前置胎盤ではなくなることを祈ります!!