<ショートショート>ボク達は生きる。 | Coo、いつも一緒ね ~ FUN LIFE, WAHO LIFE ~

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毎朝窓から安曇野の景色を眺めていたCoo。
2021年6月6日 17歳11ヶ月と19日。天使になりました。
そんな雑種犬Cooのワホワホつぶやきと、想い出日記。

毎朝、おひさまに向かっておはよう!気持ちをリセット!    
さあ、今日も楽しくいくよ~

さて、久々ショートショートです。

本当はもう少し先にあげるつもりで書いておいたのですが

今日は甥っ子のこともあり、楽しい蔵出しはちょっとお蔵入りして次に出しますので

今日はこちらをどうぞ。

 

<ボク達は生きる>

 

「最近また、川沿いに熊が出るようだ」

そんな話が聞こえるようになった晩秋のある日。

熊の親子が山へ帰っていくのが目撃されました。

 

人間達は相談します。

「せっかくの冬に備えておいた作物も畑も荒らされるかもしれないぞ」

「我々に危害を加える前に手を打たないとな・・」

 

熊の親子が郷に近い川に出没したのは、山に何も食べるモノがなく

冬眠する前になんとかお腹を満たしたかったからでした。

 

何頭も熊が射殺されたと山の松を塒にしているカラスたちが教えてくれましたが

まだ小さい自分の子供のお腹をいっぱいにしてあげようと

危険を承知で母熊は1人で行く決心をしました。

 

「お母さん、お母さん。。。ボクも行く」

「大丈夫よ。すぐに帰ってくるからね」

母熊は優しく微笑むと、子供を森に残し、郷へと向かう川を下っていきました。

 

「熊が下りてくるぞ!」郷はざわつきます。

郷で唯一の番犬親子の母親も熊の狩りに連れて行くことになりました。

 

「母ちゃん、気を付けてね」

「大丈夫よ。イイコにしているのよ」

母犬は優しくキスをすると、人間達の先頭に立ち、出掛けていきました。

 

母熊は、麓にある農家の庭先にいました。木に登ろうとしていたのです。

見つけた人間達は、大声で「いたぞ!」と騒ぎ立てました。

先頭にいた母犬は、「大丈夫よ!降りていらっしゃい!」と吠えました。

しかし、人間の騒ぎに驚きバランスを崩した母熊は木から落ちてしまいました。

母熊を心配し、駈け寄ってくる母犬に、母熊がバランスを立て直すために振り回したその手は

なんと母犬にあたり、爪が母犬の体を切り裂いてしまったのです。

 

母犬が倒れると同時に人間達は、「よくも大事な番犬を!」と怒りに震え

母熊に何発も銃を撃ち続けたのでした。

 

母熊は、薄れていく意識の中で、

「母犬さん、ごめんなさい・・・あなたにもきっと子供がいるのよね。。

でも、私にも守りたい子供がいるの。。」

山の森に思いを馳せながら目を閉じた母熊の手の中には

人間が見向きもしなかった柿が山ほどあったのでした。

 

「母ちゃん、遅いなあ。。」

母犬を待っている子犬、サム。

 

しかし、やがて人間達が連れ帰った母犬の亡骸を目にし、

それは熊にやられたと知って怒りに震えるのでした。

「ボクのお母さんを、よくも!」

「いつか、いつか敵を取るんだ。。」

 

一方、山の森では子熊のリュウが「お母さん、遅いなあ」

少しでも遠くが見えるように、一番に母熊を見つけられるように何日も木の上で待ちました。

 

しかし、冬がやってきても、母熊は帰って来ませんでした。。

「郷に下りて行くと、人間に殺されてしまう。。それが熊の運命なんだ」

でも、生きるために何かを食べなければいけません。

郷に下りないように、川を行ったり来たり。。たまに川魚を捕ったり

山菜や毒にならない草を食べたり、一生懸命リュウは生きました。

 

郷では、人間達の話を聞いているサムがいました。

成犬になったサムは今は村の筆頭番犬になっていました。

身近で人間達の話を聞く機会も増えたサムは母犬が亡くなったときの話を

偶然聞いてしまいました。

 

人間達の騒ぎ立てる声に母熊がビックリして木から落ちたこと。。

落ちた母熊に駈け寄った母犬が、もがく母熊の振り回した手で飛ばされてしまったこと

そして、人間達は母犬の手当もせずに母熊をひたすら何発も撃ち続けたこと。。。

 

サムは、話を聞いていて、震えが止まりませんでした。

母熊さんはビックリしたんだ。そして手を振り回したら母ちゃんに当たってしまった。

すぐ手当をすれば母ちゃんは助かったのに。。

なのに、人間達は母熊さんを殺すことに夢中になっていたんだ!

 

母熊さんは沢山の柿を抱えていたって。。。きっとボクのような小さい子供がいたんだ。

その子に持って行こうとしたんだ。。

柿はみんな、人間達は誰も食べないじゃないか。みんなカラスの餌になる。

その柿を採って子供にあげようとしただけなんだ。。

 

ボクはとっくに殺されてしまった母熊に敵を取ろうとして、こうして筆頭番犬になったのに。。

山に食べ物がないのも人間のせいだ。ボクは、ボクは。。。

サムは悔しさと悲しさと申し訳なさでどこまでもこだましそうな大きな声で吠え続けました。

それきり、サムの姿は郷から消えたのです。

 

それからまもなくです。

熊親子がいた山の森を抜け、ふたつ山を越えたところは広い広い草原が広がっています。

そこに一緒に走り、歩き、そして止まっては遠くを見る2つの影。

大人になった熊のリュウと、郷の筆頭番犬だったサムが一緒にいたのです。

お互いに親を殺された同士。

敵となるはずの2匹は、不思議と寄り添い、一緒に生きていたのでした。

 

憎むべきは本来動物たちの楽園を壊してしまった人間達。

食べ物が普通にあれば、ボク達はただそれだけでいい。ひとつも欲なんかない。

 

ここは人間達も来ない草原。

ここで、ボク達は生きる。そっと、生きる。

傷ついた動物たちの楽園にするんだ。

この草原のように、そして広がる空のようにおおらかな心で、生きるんだ。

 

そう誓い、そしてまた寄り添いながらどこまでも歩いて行く2匹だったのでした。

 

おしまい。

 

星カラフルshokopon ありがとワホよ shokopon星カラフル

 

昼記事でコメント欄開いていますので、こちらは閉じておきますね。

 

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皆さんと皆さんの大切な家族が明日も穏やかに過ごせますように。
 

恒例の遅延コメント返答ですが、 10月31日の記事 に今夜返答致します。

6月24日 「風の谷の奈良シカ~愛情号!」 は今、返答途中です。

目標は今年のうちに今年の分を全部返答することですっっっ

いつも遅れてばかりのコメント返答ですが遊びに来てくださり、本当に感謝です。

またお時間のある時に見てみてくださいね。

 

今一生懸命頑張っているシニアの子、保護犬の仲間達、病気の子

友達みんなへ届け~~特大元気玉!
 

本各地の被災地の皆さんが1日も早く心からの笑顔を取り戻せますように。

頑張っているCooの友達が明日も元気に穏やかに過ごせるように。

病で闘う皆さんが笑顔で明日も過ごせるように。

安曇野から今日も明るく願います。