史上最高額の美術品とされるレオナルド・ダ・ヴィンチ

サルバトール・ムンディ

(救世主という意味)

その金額は510億円ポーンポーンポーン

その絵は2005年、アメリカ・ニューオリンズのギャラリーのオンライン図録に

掲載されていた。

落札された金額は1,175ドル(約13万円)。

 

この話は映画レンブラントは誰の手にの記事の時にも書いた。

映画の大筋の一つは、

若い画商が無名の画家が描いたとされる絵をレンブラントの作

だと確信し、安価にて落札。

その後レンブラントの手によるものと証明された。

今回のダ・ヴィンチも映画のレンブラントもオークションで作者不詳

ということで安く落札し、その後巨匠の作と判明(!?)。

このサルバトール・ムンディがどのような経緯で、ダ・ヴィンチの作

となり、こんな金額で取引されるようになったかを追う話がこちら下差し

 

 

表紙が修復前の絵の状態、裏表紙が修復後の絵の写真となっている。

 

本の見返し、カバーのそで部分は修復の経緯が。

 

始まりはニューヨークの美術商、ロバート・サイモンアレックス・パリッシュ

の2人が、オンライン上でこの絵を発見、1、175ドルで落札。

 

この本には数多くの人物がこの絵に関わり、登場する。

あまりに多くて、頭の悪い私などは「この人誰だったっけ?

何度も思ったが、ご安心を。

本の最初に本書に登場する主な人物 として登場人物が

時系列順、役割別!?に書かれてある。

ご丁寧にドナルド・トランプ夫妻まで。(絵には直接関係ない)

なので、何度となく、そこを見て「ああ、そうだった。」と思い出すことができる。

 

さて、二人は出処不詳、作者不明のこの絵をダ・ヴィンチ作だと感じ

ダ・ヴィンチ研究の第一人者でオックスフォード大学名誉教授

マーティン・ケンプに鑑定を依頼する。

感じるというのは、サイモンの言葉を借りると以下のようなもの。

 

描かれた絵からその画家を割り出す能力は、親友と電話電話で話していて

それが彼の声だとわかるようなもの。

特定しようと思わなくても、声の抑揚や声質や話し方や使う言葉で

自然とわかるのだ。

さまざまな要素のいくつかが合わさって、作者を特定する

かなりはっきりしたパターンが組み上がり、

これこそが鑑識眼の重要な要素。

ということらしい。鑑識眼ってこういうものなのだろうか?

 

レンブラントは誰の手にの記事に書いたが、誰が描こうと、

その作品の芸術性は変わらないはず・・・と思ったけれど、

やっぱり誰が描いたかは大事

しかも絵画の価値が決まる要因は、作者の名前と、その絵が

いつ描かれたものかといったことだけではないらしい。複雑もやもや

 

その画家の作品がどれだけ稀少かということに加えて、

公平さを欠くようだが所有者たちの社会的地位や、

さらには単にどんな人が所有していたかということだけでなく、

どれだけの期間、名門諸家に置かれていたかが大きな判断材料になる

とある。

社会的地位とは

まじかるクラウン王・女王・皇帝王冠1最高位アップ 

中流階級の工場長 最下層ダウン

 

例えばイギリスイギリスのハンプトンコート(宮殿)に残された

ラファエロの作品群について次のように述べている。

もしその絵がラファエロではなく、名もない画家の手によるもので、

しかもどこかの個人所有物であり、

その所有者が売りに出さざるを得なくなったのだとすれば、

絵の傷も全部加味されて現在の見積額の10分の1にもならないだろう叫び

そのように値付けされているようだ。

 

さて1,175ドル(しかも2人で買ったので、1人当たりはその半分の値)から

4億5千万ドルになり、二人は大金持ちお金に・・・と思ったら大間違い

この絵がダ・ヴィンチ作だと証明する調査の為の旅費・写真、美術品を

受け入れられる保管施設の代金等々、2人は資金を使い果たしていたチーン

売れなければ1銭も入ってこない笑い泣き

絵の修復を請け負ったダイアン・モデスティーニは彼らの窮状を知ってか

修復の代金を督促しなかった。

結局彼らはサザビーズが絡んでいる!?ここがはっきりしない、この話全体、

いや美術界全体で、裏は謎と闇だらけとわかる)美術商に8千万ドルで売却する。

 

そうしてこの美術商から1億2750万ドルロシアの大富豪の手に渡る。

(美術商は大富豪の代理人として二人と交渉、仕入れたのを売ったのではない。

大富豪は後に美術商が買った値段を知り、騙されたと裁判を起こす。)

 

そうして2017年11月15日、クリスティーズの競売において

4億5千万ドル(約510億円)で落札されるのである。

ちなみにこのうち5千万ドルクリスティーズ手数料

 

落札したのはサウジアラビアの皇太子ムハンマド・ビル・サルマーン

2018年サウジ出身のワシントンポスト記者が、イスタンブールの領事館に

行った時に拉致され、拷問を受けた後、殺害されるナイフ銃事件が起こったが、

実行犯はこの皇太子のボディーガードとされているもやもや

 

落札されるまでの駆け引きも、他の国との競り合いだった可能性があると

著者は書いているし、ネタバレになるのでこの辺りでやめておくが、

今現在の持ち主の話になる後半は、緊迫し、かなりドロドロしてくるのである。

 

絵は現在、皇太子が保管していると思われるが、(ヨットの中との噂あり、まさかねあせる

美術館に展示される可能性は今のところない

というのは、ルーブル美術館などはこの絵をダ・ヴィンチが描いたとは

断言しないし、もし公の目にさらして本物ではないという事になれば、

大金を払って購入した愚かさが露呈してしまうので、

ダ・ヴィンチ作だ!という事で

展示しないのなら絶対に貸出ししないバツレッドという事らしい。

 

この絵がダ・ヴィンチ作という確実な証拠はないのだ。

先に書いたダ・ヴィンチ研究者の第一人者はダ・ヴィンチ作だ

太鼓判を押しているが、その他の専門家は賛否両論。

ただヴィンチ工房で製作され、ダ・ヴィンチの手が(少しは)入っているという事は、

どんなにこの絵に批判的な専門家でも認めているらしい。

だが、弟子の作品の一部に手を加えているのと、全部丸ごとダ・ヴィンチ

というのでは、意味合いが(何より値段!)違ってくるのだ。

 

美しいキラキラ美術品乙女のトキメキ

だが、その裏は汚れまくっているお金もやもやという事、

そしてやはりどうしても政治が絡んでくるものなのかと

思わされる1冊だった。