もう少し生きたい

直腸がんで右耳の聴力を失っても歌い続ける、山本譲二の分岐点



山本譲二








「この曲はボーナストラックで、50周年記念曲第1弾は『妻よ…ありがとう』。ホントにいい曲ですよ」


 妻というのは、売れる前から同棲していた女性のこと。山本が病魔に襲われたときも、懸命に支えてくれた。

「直腸がんになったときは申し訳ないと思った。案外、簡単に逝くかもと思ったけど、なんとか生かされて今がある。飯は食えず、点滴ばっかりだったけど、もうちょっと生かしてくれねえかな、もう少し生きたい、そう思いました」

 山本は腫瘍で右耳の聴力を失っており、満身創痍。それでも歌いたいという気持ちを失っていないのは、妻のおかげだと思っている。

「この世界は夫婦で成り立っていると俺は思うんですよ。妻のために俺は頑張ってきたんだけど、妻のことを忘れていた時期もあるよなって。それでも妻は俺の傘になってくれて、小さな明かりを灯してくれて、一緒に歩いてきたんだよね」

 メタルで爆発しながら、妻への感謝を忘れない。

 山本譲二はやっぱりカッコいい男なのだ!