【玉ノ井親方の目】
大の里は一番優勝に近い存在
上手にこだわらず決められるのが強み
大の里は右を差すことができれば、自分の相撲が取れると、絶対の自信を持っているようだ。琴桜戦は胸から当たって、相手の上体を起こし、素早く右を差して、そのまま深くねじ込んだ。
1メートル92、181キロの大の里の丸太のような太い腕をねじ込まれると、1メートル89、175キロの琴桜といえども、さすがに上体が浮いてしまう。左で上手を取ってはいたが、そのままグイグイと前に出てこられて、なすすべなく土俵を割った。
大の里の強みは、上手にこだわらずに勝負を決められるところだ。右四つの力士であれば、右を差したら普通は左で上手を取りにいきたくなる。その方がより安全だからだ。しかし彼は右を差したら、それだけで十分。逆に組んで取る相撲をほとんど見たことがない。
左で上手を取らなくても、おっつけることもできるし、半身のまま前に出てくるので、相手も的が小さくなって反撃がしづらくなる。
今場所は体を密着させながら寄る上体の使い方も良い。先場所はそれが流れたりすることもあり、琴桜に敗れたが、その不安定さが修正されている。ここにきて豊昇龍も良くなってはいるが、大の里が優勝に一番近い存在といえるだろう。
(元大関・栃東)
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