【玉ノ井親方 視点】


尊富士が負傷で千秋楽出場が微妙に「無理して取り返しのつかないことになっても」


寄り切りで朝乃山に敗れる尊富士(左)
<大相撲春場所14日目>
右足に包帯を巻き
車イスで運ばれる尊富士
◇大相撲春場所14日目
(寄り切り)
尊富士●  

(はたき込み)
阿炎●

2024年3月23日
 エディオンアリーナ
大阪


 荒れる春場所と言われるが、それ以上の大荒れの展開になった。

 尊富士が朝乃山戦で右足首を痛め千秋楽の出場が分からなくなった。

 右四つに組む形になって横に振られた時に足首の関節を捻る形になってしまったようだ。


 花道を引き揚げるときに1人では歩けず、付け人の肩を借りた。そのまま救急車で病院に運ばれたようだが、ああいう形でケガをする時はひどい状態になってしまっていることもある。本人とすれば何としても千秋楽の土俵に上がりたいだろう。しかし、無理をして取り返しのつかないことになってもいけない。


 朝乃山との一番は立ち合いがすべてだった。相手に右を差され、四つに組んで胸を合わせたところで勝負ありだった。今場所、尊富士が勝った相撲は左を差して相手にまわしを許さず一気に土俵の外まで持っていくのが必勝パターンだった。唯一、敗れたのは、右を抱え込まれ投げられた豊昇龍戦だけ。今場所、上位とは組んで取る相撲がなかっただけに、朝乃山にそこをうまく取られた。


 朝乃山にすれば優勝経験のある元大関として絶対に負けられないという意識があったと思う。左四つの尊富士とケンカ四つになることを予想して、立ち合いで右を差すことだけに神経を集中させ右脇をしめて、左胸から当たるようにして尊富士の左差しを防いだ。それが見事に成功した。

 大の里が阿炎をはたき込んで勝ち、2差で追走していた豊昇龍が破れ賜杯争いは尊富士と大の里の平幕2人に絞られた。

 尊富士が千秋楽の土俵に上がることができず、大の里が千秋楽に勝てば決定戦が成立しないので大の里の優勝となる。逆に敗れれば尊富士が優勝となる。いずれにしろ場所前には誰も予想できなかった結末を迎えることになる。


(元大関・栃東


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千秋楽どうなる?新入幕優勝狙う尊富士は右足負傷で救急搬送…大の里“決定戦不戦勝V”の可能性も

救急車で運ばれる尊富士

 大相撲春場所14日目 
 2024年3月23日    
エディオンアリーナ大阪  

24日の大相撲春場所千秋楽の取組が発表され、12勝2敗で優勝争い単独トップに立つ新入幕の東前頭17枚目・尊富士(24=伊勢ケ浜部屋)は西前頭6枚目の豪ノ山(25=武隈部屋)と、3敗の西前頭5枚目の大の里(23=二所ノ関部屋)は大関・豊昇龍(24=立浪部屋)と対戦することが決まった。
尊富士は14日目で元大関の朝乃山に寄り切りで敗れて2敗目を喫し、1914年(大正3年)夏場所の両国以来110年ぶりの新入幕優勝決定はお預け。取組で右足を痛めたとみられ、土俵を降りる際に右足を引きずり、用意された車いすで医務室へ直行した。医務室の関係者によると、足首かアキレス腱を痛めたものと思われる。その後、膝から下をギプスで固定して救急車で大阪市内の病院へ向かった。
 万が一、尊富士が休場で不戦敗となってしまった場合、大の里は勝てば12勝3敗で尊富士と並んで優勝決定戦へ。優勝決定戦は不戦勝で大の里の初優勝が決まる。
 尊富士が休場して大の里が負ければ、尊富士の優勝が決定。“不戦敗優勝”で、千秋楽に優勝者不在という極めて異例の事態になる。なお、1989年春場所では、千代の富士が14日目に優勝を決めたが左肩脱臼のため千秋楽に休場した例もある。千代の富士は千秋楽の表彰式で土俵に上がり、右手のみで賜杯を受け取った。

 新入幕の尊富士と幕内2場所目の大の里はいずれも出世が早過ぎて大銀杏(おおいちょう)が結えず、ちょんまげとざんばら髪姿での快進撃。大銀杏が結えない力士の優勝は史上初となる。

 初土俵から所要9場所で最速新入幕を果たした尊富士は今場所、初日から11連勝。12日目には大関・豊昇龍に初黒星を喫したが、「何も考えずに自分を信じてやるしかない」と切り替え。13日目は関脇・若元春を圧倒し、歴史的な新入幕優勝に王手を懸けていた。

    

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デヴィ夫人
 元白鵬・宮城野親方への処分で
日本相撲協会に苦言
 「日本の恥」と
断罪も

 




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玉ノ井部屋𝕝𝕟𝕤𝕥𝕒𝕘𝕣𝕒𝕞