【玉ノ井親方 視点】

大の里が
今場所の優勝争いに絡む可能性は十分にある
<大相撲初場所7日目>
王鵬(左)を寄り切りで破る大の里

◇大相撲初場所7日目

  ○大の里
(寄り切り)
王鵬●
 
( 2024年1月20日 
   東京・両国国技館 )
 
1メートル92、183キロの大の里と
1メートル91、179キロの王鵬。

2人のサイズはほぼ同じだが、相撲内容は新入幕の大の里の圧勝だった。

 右を差して左からおっつけながら一気に前に出て勝負を決めた。

 前日の宝富士戦はもろ手突きで相手の上体を起こしにいった。この日は立ち合いで王鵬の脇が空くのを読んで差しにいった。二の矢の足もよく出ていて、相手に圧力が伝わっていた。考えた通りの相撲が取れたのではないか。

 2年連続アマ横綱の大器。恵まれた体格に加え、しっかりと基本ができているところに非凡さを感じる。

この日も、ただがむしゃらに攻めるのではなく、右のかいなを返して、相手に左から投げを打たれないように注意しながら前に出ていた。上手(じょうず)の手から水が漏れないようにする冷静さがあった。
(※上手の手から水が漏る
じょうずのてからみずがもる
名人といわれるほどの人でも、時には失敗することがある
というたとえ)
 
今場所は新入幕のため、対戦相手も勝手が分からず手探りの状態で取っている。そういう面では思い切って当たれる大の里の方が精神的には取りやすいだろう。

ただ、3日目の阿武咲戦では中に入られ一気に持っていかれた。押し相撲や突き相撲の相手にどんな相撲を取れるかが、これからの試金石になる。

 未知の部分はまだまだあるものの、このまま優勝争いに絡む可能性は十分にあると見ている。 



 (元大関・栃東