【玉ノ井親方 視点】

大鵬さんの命日に
王鵬が初白星

「今場所の王鵬は
ひと味違う」


<大相撲初場所6日目>
遠藤(右)を押し出しで破る王鵬
口を真一文字に結び、
口を真一文字に結び、
勝ち名乗りを受ける王鵬


◇大相撲初場所6日目

○王鵬
(押し出し)
遠藤●

(2024年1月19日
 東京・両国国技館)

 王鵬はいつもの白星とはまた違う思いがこみ上げてきたのではないか。祖父・大鵬
さんの命日に白星を飾るのは初めてだそうだ。

 立ち合いは頭から当たっていった。すぐに引くような形になって、遠藤を横向きにさせると左をおっつけてそのまま押し出した。

 体はよく動いていた。ただ、立ち合いで当たったあとに、簡単に引かずに前に出て勝負を決められれば、もっと良かった。

 遠藤の左差しを嫌ってそういう相撲を取ったのだろうが、体勢を入れ替えようとするのであれば、安易に引くのはやめるべきだ。

 攻めながらいなして、優位な体勢に持っていくようにした方が、相撲内容はもっと安定する。

 もっとも、今場所は以前に比べ、簡単に引く場面が少なくなった。タイプの違う力士と対戦を重ね、幕内の雰囲気にも慣れてきたことで、自分の力をだんだん出せるようになってきたのではないか。


 体は大きいし、離れても組んでも取れるタイプ。ただ、せっかく恵まれた体があるのだから、押しながら組んだ方が相手も取りづらいはず。

 あす7日目は新入幕の大の里戦。お互いに5 勝1敗と好調なだけに面白い一番になりそうだ。 

 (元大関・栃東