【玉ノ井親方 視点】


熱海富士が元大関の御嶽海に圧勝 

玉ノ井親方

「ちょっと力の差があると感じる」



◇大相撲九州場所
2日目

   ○熱海富士
(寄り切り)
御嶽海●
 
( 2023年11月13日   
 福岡国際センター )

 
熱海富士は本当に力をつけている。御嶽海戦も素晴らし相撲内容だった。立ち合いで一瞬、顔を左にそむけるような形になったが、すぐに左で前まわしを引いた。右は差せなかったものの、そこからの出足が力強かった。頭を相手の胸につけて、左を引きつけながらじわりじわりと前に出て御嶽海の上体を起こし、そのまま寄り切った。

御嶽海は3度の幕内優勝経験がある元大関。腰も重い。その相手に何も反撃させない相撲で勝った。我々から見ても、力の差がちょっとあるのかなと思わざるを得ない内容だった。
優勝争いをした先場所は、終盤に3敗して決定戦で貴景勝に敗れた。賜杯を抱くチャンスは逃したものの、良い勉強と良い経験になったのは間違いない。それがあったから、今場所はちゃんと自分の得意な形に持ち込もうとしているし、早く前に出ようとする意識が徹底している。

初日の妙義龍戦も前に出ていきながらの小手投げだったので、きれいに決まった。

今場所は関脇、大関陣も良い相撲を取っている。まだ2日目が終わったばかりだが、締まった場所になりそうだ。その上位陣に、熱海富士が先場所のように絡む展開になれば面白くなる。

(元大関・栃東)