カラスの恩返し?

待望の雨に濡れるカラマツ林。
が、お盆のイベントには迷惑な雨だったな。
この林、60年ほど前に防風林としてカラマツとトドマツが植えられたもの。
現在は、カラマツ主体ながら、様々な木々の混交林となっている。
サテ、
恩返しは、「日本昔ばなし」の定番だが、親切くらいは施し施されても、恩と
呼ばれるほどのことは、日常に中々ない。
鶴を助けて機(はた)を織られても敵わないが、いつも悪さをするカラスたちが、
林の中で恩返しをしていることに気付いていない。

このように、優勢樹のカラマツやひょろりとしたトドマツの根本には、ナナカマドや
エゾサンザシ(サンチン)、ニワトコなどの幼木が今も芽を出している。
これらは、もちろん植えたものではなく、カラスなどの野鳥たちが木の実を啄んで来て
落としたフンから育ったものどもだ。

カラマツの根元から発芽したナナカマド(左)、エゾサンザシやヤチダモの
木々はかなり大きく育ったものもある。
アオダモの野球バットは有名だが、このヤチダモでも作られるらしい。
適度な堅さと反発力を兼ね備えた木なのだろう。
カラマツも、いつまでも育ち続けるわけではないので、将来的には、風が
運んだりカラスたちが撒いた種から育った木々が林の主役になるのかも
知れない。

エゾサンザシは、この辺りではサンチンの木と俗称される。
バラ科のこの木は、白い五弁花を咲かせ、秋には甘みのある黒い実を付ける。
子どもの頃にはこの実をほおばり、口の中が紫色になるのを面白がったものだ。
この林にも、たくさんのサンチンの木が育っているところを見ると、野鳥たちも
この実が好物なのだろう。

こちらは、イチイ(おんこ、アララギ)。
お公家様の官職に「正一位」という位があるが、そのお方が持つ笏(しゃく)を
この木で作ったため「一位=イチイ」を充てたのだという。
ひな祭りのお内裏様が持つ、「ヘラ」みたいなのがそうだ。
秋には、赤くて甘い「オンコの実」を付けるが、実の中の種には僅かながら
猛毒のアルカロイドが含まれるので、一緒に食してはいけない。

玄関に至る雁木の先に樽製の大きなプランターを置いている。
以前、プンゲンストウヒが植わっていたものだが、木が枯れた後に植えてもいない
低木が生えてきた。

レッドカーラント(赤フサスグリ、かりんず)なのだが、すぐ脇にグースベリー(ぐすべり、
すぐり)までも育っている。
人為的にではなく、鳥たちが運んできたものが、この樽鉢の中で発芽したものだ。
カラスたちはこうして、人知れず、われ知らずに、様々な迷惑?をかけたことへの
お返しと現世の功徳(くどく)を積んでいるものと思われる。
でも、よくよく考えてみると、老いつつある林や森を若い木々に更新することは、
彼らにとっても大切なはずだ。
野生の本能に従い、エサを採ったり、孫子の世代が巣をかけやすいよう、好みの
木の種を植えて育てているのかも知れない。

満開となった、エキナケア・パープレア。
「雨ニモ負マケズ」花壇の主役を演じている。
カラスの子育て・子育ちは続いているが、盆も終わると、
次の季節の入り口が見えてくる。
恩返しのイメージか、頭の中を、♪日本昔ばなしのオープニングが
リフレインされている。