靖国神社 | naominet

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是非に及ばず

手元に一枚の写真があります。

歌っている男性と、尺八を演奏している男性二人が写っています。
袴姿で神聖な雰囲気です。

尺八を演奏しているのは、2年前に他界したワタシの祖父。

写真の裏には、昭和39年靖国神社にて津軽山唄を奉納
とありました。歌い手さんは、若美家五郎さん。

靖国神社の奥殿で、演奏がされたのはこれが
初めてだと書かれています。
この模様が神社が発行する社報に載っていると
ありました。

ワタシは社報を見てみたいと思い、
ちょうど九段で用事があった後に
靖国神社に参詣しました。

拝殿で手を合わせたあと、
社務所で社報について聞くと境内の
靖国偕行文庫というところを案内されました。

図書館のようなところです。
昭和30年代の社報の本を見せて貰いました。

昭和39年3月15日発行の社報に、
小さな記事で演奏を奉納した様子が書かれていました。

弘前の遺族の方々が、靖国に眠る家族へ、
ふるさと津軽の民謡を聴かせてやりたいと
奉納が実現したそうです。
そこで尺八を演奏したのが、祖父だったというわけです。

奉納が行われた日を見て、ワタシはハッとしました。
昭和39年3月6日です。ワタシが靖国神社に行っていた日は
3月5日。1日違いですが、何だか感慨深いものがありました。

同じ社報の記事に、
硫黄島の慰霊祭が行われた旨が書かれていました。
硫黄島は激しい陸上戦が行われた場所です。
数年前に映画にもなりました。

硫黄島が玉砕したのは、3月17日とありました。
もうすぐです。

硫黄島からの手紙という映画を見たとき、
しばらく気持ちが沈んでしまってボーッとしていました。
アメリカからの目線で描かれた父親たちの星条旗よりも、
やはり見るのが辛かったです。

でも、そんな痛みは数日経てば薄れてしまいます。
当時を思えば。

映画の中で忘れられないシーンがあります。
渡辺謙さん演じる栗林中将が、敵陣へ突っ込んでいく
もうこれまで、という直前、引き連れている部下たちに、

「お前たち(我々だったか…)の死は決して無駄ではない。
後世につながるものなのだ。(自分たちの上に未来がある的な)」

こういった言葉をかけます。
ワタシはこのシーンに泣きました。

戦争を思うのは夏だけではないですね。

祖父も戦争へ行っています。
葬儀のとき、何枚か分けてもらった
戦時中の写真が残っています。

でも、
いちども戦争の話は聞いたことがありません。
もう聞くことはできませんが。

靖国神社の奉納演奏で祖父は何を思ったのでしょう。

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