なおみんです♪
内科クリニックで看護師やってます。
妊娠後期の患者さんが
産婦人科の血液検査でひっかかり
紹介状を持って来院されました。
当院で専門的な検査を受けたところ
予想以上に高い数値が出ました。
その結果を産婦人科の担当医に
見せたところ
視線は電子カルテに向けたまま、
妊婦さんの顔も見ずに
「うちでは、産めないよ。
他を探して」と、言われたそうです。
その産婦人科で第一子を産み
お腹の赤ちゃんも、同じ場所で
産めると安心していたのに、
妊娠後期になってから
まさかの転院。
顔も見てくれない。
フォローもない。
「どこか紹介してください」と
返すのがやっとだったと
目に涙を溜めて話してくれました。
10年以上前に、私はその産婦人科で
子ども二人を出産しました。
とても思い入れのある
感謝している場所でした。
代替わりして
産婦人科も変わってしまったと
聞きました。
当院での診察が終わった
妊婦さんは
涙目のまま、ボーッとしていて
放心状態です。
「どうしよう。こんな時期に転院。
あの産婦人科で産みたかった。
上の子もいるのに、どうしよう」
視線が定まりません。
怒りを抑えている裏では
悲しみと不安がいっぱい。
そして、自分を責めている気持ちが
見えました。
「自分が病気になったから悪いんだ！」
「一人目の時は大丈夫だったのに、
どうして？何が悪かったの？」
妊娠中は、ただでさえ
気持ちが不安定です。
病気の発症、転院と聞けば
自分と赤ちゃんの事が気になり
ショック、混乱の状態になるのは
当たり前。
でも、迷っている時間はないのです。
設備・環境の整った大きな病院に
受け入れてもらい、無事に出産する。
それに向かうだけ。
私は、温厚な一面を持つ看護師です。
（↑自分で言う）
他の病院のクレームは
極力、控えていますが
抑えられない怒りが出てしまい
心の声を大にして言いました。
「妊婦さんの顔も見ない、
転院先も考えてくれない所なんて
こっちから願い下げよね」
「は？」
「お母さんが安心して出産できるように
サポートしてくれて
赤ちゃんをしっかりケアしてくれる
病院に行きましょう！」
「・・・」
「その産婦人科で産みたい気持ちは
わかります。
私もそこで産んだから
素敵な病院だと知っています。
でも、今は
お母さんと赤ちゃんの命が大事！
そこじゃ安心して産めないですよね」
(。-`ω-)
「・・・ですよね ( ;∀;)
でも、あの病院で産みたかった。
もう、目の前が真っ暗。
どうしたら良いのか？
いきなり突き放されて
悔しかった、悲しかった」
妊婦さんは涙をこぼしていました。
幼稚園に通う子どもは
まだ手がかかる。
一人になれば
お腹の赤ちゃんと自分の未来が
不安で、気が休まらない。
自分を責めてみたり、
産婦人科を恨んだり、
我慢していた分の涙が
一気に こぼれました。
「こっちから願い下げ。ホントだ」
妊婦さんは そう言って
震えて泣いていました。
もう一つ「お金」の問題があるとも
話してくれました。
大きな病院に行けば
金銭面の負担が増えると
心配していたのです。
よくぞ話してくれました。
言い出しにくかったでしょう。
妊婦さんの居る場所まで
院長に来てもらい
病気に対する不安
金銭面の不安を
改めて話してもらいました。
大きな病院には、MSW
（メディカルソーシャルワーカー）が
在籍しているので
必ず相談するように説明しました。
数日後に再び
妊婦さんが来院しました。
大きな病院の対応は
予想よりも親切で、短い時間だけど
助産師さんやMSWと話ができたと
ホッとした顔で話してくれました。
総合的に診てもらうため
当院の診察は最後になりました。
自分責めをして
泣いていた時とは違って
瞳はしっかりして
生気が戻ったようでした。
最後に私の所まで
お礼を言いに来てくれました。
「あの病院の対応を、
一緒に怒ってくれて
ありがとうございました」
よその病院への怒りをあらわにして
感謝されたのは初めて（笑）
怒りますとも！だって嫌だもん。
自分が患者さんの立場だったら
同じように泣いていたハズだから。
時に、嫌なことや悲しいこと
予想もしない出来事が起こります。
その時は「もう無理」だと
思っても仕方ない。
そう思わないとやっていられない
くらいのショックなんです。
でも、とことん泣いて凹んだら
次のステップが見えてくる。
「いつまでも泣いている場合じゃない」
「歩き出さなきゃ始まらない」
いつも患者さんの味方でいたい。
「良くなりたい」という気持ちを
応援する看護師でいたいと
思っています。
最後まで読んでくださって
ありがとうございました。
なおみんでした♪
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