みなさま
こんにちわ

真っ暗
お塩
お線香のたちこめる煙と匂い

アタシに振りかけられる
清酒と塩

おばあさんの呪文のような、意味がわからない言葉は時々、大声になる

まだいる?ひかりちゃん

まだいるよ

苦しくない?

苦しくないけど、強い力で引っ張られている


アタシから、ひかりちゃんを離そうとしている。ひかりちゃん また会える?

ひかりちゃん?
ひかりちゃん?

あ"ぁぁぁぁぁ〜
うわぁぁぁぁ〜
ひかりちゃんがいなくなったぁ〜

ひかりちゃんがいなくなった
おばあさん ひかりちゃんを返して下さい
早くっ
早く返して!あの世に行ってしまう!
助けて ひかりちゃんと離さないで


除霊は中断されました


おばあさんは言いました。あなたは姉、妹はもうこの世にいてはいけないのです。この世にいれば、妹の魂は、成就できないままで永遠に彷徨い続けなければならなくなる。妹の為に見送ってあげて。妹の旅立ちを見守るのですよ


ぅぅぅ嫌です
できません
ひかりちゃん
戻ってきて
もどってきてよぉぉぉ


もう、ひかりちゃんは応答しません
あっという間の事でした


アタシは日常に戻らなければなりません
学校に行き、勉強してご飯を食べて眠って

何年か経ちました


ひかりちゃんがいない寂しさを

誰にわかる?

誰にも見えなかったんだから

誰にもアタシの心はわからない

アタシは無口になりました

学校に行っても暗くて、友達も遠ざかり

そのうち不登校になりました

深い深い森の奥でアタシはひとりぼっち
そんな夢ばかり見て、うなされるたびにお父さんか、お母さんが真夜中、部屋に来てアタシを起こします。

そんな何年かが続きました
今が何年で何月何日か わからないほど

カーテンを閉め切り、布団の中にばかりいて、悲しみはなくなりません