WIEN
クリムト、シーレ、ウィーン世紀末展。
28日までだったので急いで行って来ました。
正直、先日のロートレック展よりも
数倍心に響くものがありました。
人物が浮き出るように描かれたものや
写真と見間違うほどリアルに描かれたアラブ人。
荘厳さが際立つ教会の絵や、
陽だまりの公園で遊ぶ子供たちを温かく見つめる画家のまなざし。
自然光の捉え方に驚嘆してしまう自然画など、
どの作品においても力強さと生々しさを感じずにはいられまんせんでした。
中でも、
スザンネ・レナーテ・グラニッチュという女性画家の自画像に見惚れてしまいまいした。
透明感のある白い肌にばら色の頬。
吸い込まれそうに透き通ったアクアマリンの瞳。
左手にパレットを持ち、しなやかに微笑む彼女を前にすると
同性なのにドキドキしてしまう自分がいておかしくなりました。
他の絵をみても、どうしても彼女に戻ってきてしまう。
こんなに引力のある絵に出会ったのは初めてかもしれません。
また、自然主義コーナーでも
エルスト・パイエルの『月夜の冬景色』に惹き付けられ
こちらも何度も見直しました。
というか、スザンネの自画像とこの絵の間を行ったり来たりしていたようなものでした(笑)
一見寂しい雰囲気ですが、しんとした雪景色の中で
川面に写る月の光だけがただただ艶めいています。
素朴に描かれている木々や雪に覆われた大地とのコントラストがステキな一枚です。
空に浮ぶ月明かりは柔らかくその光が全体を優しく包み込んでいるようで、
優しさに溢れた温かい印象を受けました。
ウィーンの人(ここで描かれていた人達)は、目力が凄いです。
顔立ちは華奢でソフトなのにその目には芯の強さのようなものを感じます。
また、驚くほどリアルに描かれていて
手を伸ばせばその人の肌の質感や柔らかさ、体温までもを感じてしまえそうでした。
ここまで心震えた展覧会は久しぶりです。
ウィーンって“音楽の街”っていう印象が強いですが、
こんなにも力強い絵画も育んでいたんですね。
パリパリってそればかり言ってないで
今度はウィーンにも行って見ようと思ったのでした。