Some Day My Prince Will Come vol.3 | φ ~ぴろりおのブログ~

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イタズラなKiss&惡作劇之吻の二次小説を書いています。楽しんでいただけると、うれしいです♪ 

食堂で渡辺と昼食を取っていると、親父から携帯に電話がかかってきた。
「直樹、相原琴子さんて知ってるか?お父さんの古くからの友達の娘さんなんだが...」
「...あぁ、知ってるけど、何?」
「おぉ、知ってるのか。それなら話が早い。相原さんの新居が欠陥住宅でな、地震で倒壊してしまったんだよ。
 ずっとホテル暮らしって訳にもいかないだろうし、しばらく家に来てもらおうと思うんだが、どうだろう。」
「...もう決めたことなんだろ。別にいいよ。」
「そうか。よかった。ありがとな。」


...相原琴子...昨日この俺に手紙を渡そうとした...今日この俺に啖呵を切った。
「ば、ばかにしないでよ。あなたみたいな人を2年間も想ってたなんてもったいないことしちゃったわ。
 あなたのお恵みなんて死んだっていらない。」
親達が決めたことをまだ何も知らないのか、そう言った。しかし、俺のこと2年も好きだったのか...暇なヤツ。
「へ~っ、そんなこと言っていいの?」
そう言う俺に、居候の身になるとも知らないで、
「いいに決まってるでしょ。あなたに世話になる理由なんて何もないんだから。バカだからってバカにしないでよね。」
顔を真っ赤にして言った...バカだからって、バカにしないでよね...お前、バカ過ぎるだろ...つい、噴き出した。
...俺の顔を見てどんな顔をするだろう。見ものだな...
ピンポーン。ピンポーン。
...来たな。さて、どうするかな...


「お兄ちゃーん、お兄ちゃーん、荷物を運ぶの手伝ってくれ。」
親父に呼ばれた俺は、できる限り爽やかに挨拶をした。
「おじさん、こんばんは。はじめまして、長男の直樹です。」
..えっ!!入江くん..表札を見てまさかと思ったけど、おじさんと似てなかったから..うそでしょ..どうしよう..
ふっ、俺の顔を見て青くなった...当然だよな...視線が泳ぎまくってる...完全に挙動不審だろっ...
あぁ、おもしれ~っ...F組の分際で、この俺に文句を言おうなんて百万年早いんだよ。ば~かっ。
「立派な息子さんだ。カッコいいね。」
「ママ似だろ?!お兄ちゃん、はやく、アイちゃんと琴子ちゃんを手伝ってあげてくれ。」
おじさんを手伝った。俺は意味有り気に微笑ってアイツの顔を見るが、アイツはその視線から何とか逃げようとする。


荷物を運び終わり家に入っても、アイツは借りてきた猫みたいに小さくなってオドオドしていた。
女の子が欲しかったお袋が一人盛り上がって、ケーキを用意したり、アイツの世話を焼いている。
「お兄ちゃんとは、同学年のクラス違いなんですって。」
「えぇ...そうです。」
「お兄ちゃんとは、学校で会ったりする?」
「あっ...はい...」
「クラスは大分離れてるけどね。でも、最近知り合って...そうだよね。琴子さん?」
にっこり笑って言う。我ながら、すっげぇ嫌味...アイツの動揺が手に取るようにわかる。
「あっ...はい...」
「ほんとぉ。よかったわぁ。楽しみぃ♪娘が一人増えたみたい。」
「こっちこそ、息子が一人..あっ、二人だったな。」
やって来た裕樹がアイツに宿題を教えてくれと言った。小学3年生の問題より少しは難しかったかもしれない。
それにしても、アイツは呆れるほど全然できなくて、自分の部屋を取られて頭に来ていた裕樹が、怒って言った。
「お前みたいなバカと暮らしたら、バカがうつる。お前なんか大嫌いだ。」
一人前に傷ついた顔をしていたアイツをお袋が2階に連れて行った。


「じゃじゃ~ん。琴子ちゃんのお城よ。どう?」
「可愛いお部屋。」
「琴子ちゃん、私、女の子が欲しくてたまらなかったの。憧れてたの。夢だったのよ。
 フリフリのレースやぬいぐるみで一杯の部屋。琴子ちゃんが来てくれたお蔭よ。思う存分飾り付けられたわ。」
「...ここ、裕樹の部屋だったんだよな。あんたが来たせいで俺達一つの部屋に入れられてさ。
 狭いのなんのって。夜も眠れやしない。」
「余計なこと言って。気にしないでね。夕食の用意をするわ。ゆっくりしてね..荷物の片付け、手伝ってあげてね。」
「あぁ...さてと、何から、お手伝いしましょう?」
「...いいです。一人でできるから。」
「そうだったな。世話をする理由は何もない。あんたがいてもいなくても、俺は何も関係ないから。
 だから...俺の邪魔はしないでくれ。」
そう言うと、入江くんはスタスタと部屋を出て行った。弟の裕樹君が入口で『あっかんべぇ』をして逃げて行った。
はぁ~っ...とんでもない所に来ちゃったのかもしれない。


おばさんの夢の部屋。レースがいっぱいで、レースに埋もれそう。
まさか、入江くんの家に住むことになるなんて...まだ、なんだか現実だとは思えない。
...あんたがいてもいなくても、俺は何も関係ないから。俺の邪魔はしないでくれ...完全に嫌われてるな、私。
この家に来て、最初の夜が終わった。これからのことは、運命に任せよう...


~To be continued~