Some Day My Prince Will Come vol.1 | φ ~ぴろりおのブログ~

φ ~ぴろりおのブログ~

イタズラなKiss&惡作劇之吻の二次小説を書いています。楽しんでいただけると、うれしいです♪ 

「新入生代表って、中学3年間ずっと全国模試1位だって。」「IQ200らしいよ。すごいね。」「日本一の天才だって。」

今日は、憧れの斗南大学附属高校の入学式...席についてしばらくすると、そんな声があちこちから聞こえてきた。

...へぇ~、すっごい頭がいいんだな。私とは大違い。きっと、牛乳瓶の底みたいなメガネをかけたガリ勉君だな。

「新入生代表 入江直樹」

「はいっ。」

...えっ?...あの人が...いりえなおき??

声がした方を見た。スッと立ち上がり颯爽と壇上に向かうその姿...

...か、かっこいい...こんなにカッコいい人見たことない...

あんな難しそうな文章を何も見ないでスラスラと...なんて素敵なんだろう...

入江くんだけにスポットライトがあたって、入江くんの声しか聞こえなくなった..私の世界は入江くんだけになった。

...小さい頃、お姫様になりたかった。私はもう子どもじゃない。自分がお姫様じゃないって知ってる。だけど...

いつか王子様が迎えに来てくれるって...王子様にきっと逢えるって信じてた...今日、王子様を見つけた。



朝は、暑い夏も、寒い冬も、登校して教室に入る入江くんをひと目見るために、ほとんど毎日廊下で待った。
笑って『おはよう』って挨拶ができるA組の人たちが、本当に羨ましかった。
A組だったら、同じ教室に一緒にいられるし、授業中だってずっと見ていられる。
よくA組の女子は、入江くんが同じ教室にいて、ちゃんと勉強できるなぁ...
私だったら入江くんを見つめるのに夢中で、勉強なんてできるはずがないのに...絶対おかしいよ。

一番楽しみだったのは、A組のあとにF組の授業がある化学の授業...
チャイムが鳴ると速攻で化学室に行き、まだ入江くんの温もりが残っていそうな入江くんの座っていた席に座ること。
私の座る席じゃないけど、泣きついて座らせてもらった。最初は自分の席に戻れって言ってた先生も諦めてくれた。
ときどき席替えがあって、入江くんだと信じていた温もりが、頭がいいだけで、みんなから『キモ田』と呼ばれている
下田君の席だった時は、本気で泣きそうになった。A組だったら、こんな間違いしなくてすむのに...

A組の体育の授業がグランドである時は、もちろんずーっと入江くんを眺めてた。

入江くんは頭がいいだけじゃなくて、運動神経も抜群でスポーツ万能だ。

走っていても、ボールを追いかけていても、何をしていても本当に素敵でため息が出た。

A組の体育の授業がある前の日は、必ずてるてる坊主を作って『明日晴れますように』ってお願いした。

入江くんは背が高いし、カッコいいから、見つけるのはそんなに難しくないけれど、

入江くんをロックオンできる速さは、戦闘機のパイロットにだって絶対負けない自信があった。

入江くんをいつでもどこでもすぐに見つけられるのは、私の特技だった。

こんなに頑張っても、毎日入江くんを見ることはできなかった。
入江くんを見れた日には、スケジュール帳にハートのマークを書いた。
マークのない日が3日も続くと、私は寂しくて悲しくて、ごはんが食べられなくなった。


A組になりたかった...

入学式で入江くんに一目惚れしてから、『A組になって、入江くんと友達になる』ことが私の目標で、夢だった。

じんこと理美は、絶対無理だって言った。A組になるのは大学受験より難しいって...

でも、諦められなかった。問題さえわからなくて、勉強するといつも頭をかきむしりたくなったけど頑張った。

自分では、これ以上頑張れないくらい頑張ったつもりだった...でも、E組にさえなれなかった。

試験結果が張り出されるたびに、入江くんはいつも満点で、いつも一番だった。

『見て見て!!私の大好きな入江くんは本当に天才よ!!すごいでしょ!!』って言いたい気持ちと、

自分とのどうしようもない差を思い知らされて絶望的になる...結果発表の日は、うれしくて、悲しい日だった。


よく入江くんの夢を見た...

一度も話したこともないし、入江くんは私のことなんて知らないはずなのに...

夢の中の入江くんは「相原」ってやさしく名前を呼んでくれた。「相原」って呼ばれるだけで、泣きそうにうれしかった。

夢の中で入江くんは、私にいつも勉強を教えてくれた。私がどんなに間違えても、怒らずにやさしく教えてくれた。

入江くんが教えてくれたら、A組になれるかもしれない。夢から醒めても、そんな夢のようなことを考えた。


3年生になる...夢は叶いそうもない...私はまたF組だ。

入江くんと友達になりたい。私のこの2年間の想いを知ってほしい。

私はラブレターを書くことにした。


初めまして入江くん。私はF組の相原琴子です。

私を知らないでしょうが、私はあなたを知っています。

入学式で入江くんを見て以来、目が離せなくなりました。

新入生の挨拶をした入江くん、友達と話をしている入江くん、黙っている入江くん

あなたがどこにいてもすぐに捜し出せました。

入江くんのいる場所は光ってるみたいで…

こんなこと書くの恥ずかしいです。

だけど今伝えないと、次いつ勇気が出るかわからないから

今勇気を出さないと、次に会う時、お互い変わってしまうかも

同じクラスになる望みもないので諦めようかと  

やっぱり諦めたくない!!

大胆かな…入江くんに憧れて2年間 今伝えないと一生後悔するから

思い切って私の気持ちを手紙に書きました。

入江くん。あなたが好きです。


誤字脱字はないはず。何度も確かめた。

明日、勇気を出して、入江くんに渡そう...

ドキドキする。ちゃんと受け取ってもらえるかな。友達になれるかな。

私の入江くんを大好きな気持ち...どうか、伝わりますように...

To be continued