コロナ隔離生活中、
熱もなく体調は良好です。
頭痛の診療ガイドラインに目を通しています。
予防治療が必要な片頭痛治療としては、これまでバルプロ酸、ロメリジン、プロプラノロールなどが用いられてきました。
しかし、これらの予防薬とトリプタン製剤などの頓挫薬を使っても、効果に乏しい人もおられます。
一昨年、抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)抗体のガルカネズマブ(商品名エムガルティ)とフレマネズマブ(アジョビ)、抗CGRP受容体抗体のエレヌマブ(アイモビーグ)が日本国内にも華々しく(?)登場し、従来の治療薬だけでは改善しない患者さんのQOL改善が期待できるようになりました。
そうしたことから、日本神経学会は日本頭痛学会、日本神経治療学会と共同して、慢性頭痛の診療ガイドライン2013を改訂、抗CGRP抗体および抗CGRP受容体抗体による治療について加筆、二次性頭痛の項目も付け加え、タイトルもから「慢性」を外して新たなガイドラインを作成しました。
紙媒体は購入すると6000円近くしますが、電子媒体は学会HPから無料で読むことができます。
ざざざっと見ていきますと、、、
CQI-2 一次性頭痛と二次性頭痛はどう鑑別するか
以下のような場合は、二次性頭痛を疑って、積極的な検索が必要である。
二次性頭痛を疑うレッドフラッグ🚩として、Doらが以下の15項目をSNNOOP10として紹介している。
①発熱を含む全身症状、②新生物の既往、③意識レベルの低下を含めた神経脱落症状または機能不全、④急または突然に発症する頭痛、⑤50歳以降に発症する頭痛、⑥頭痛パターンの変化または最近発症した新しい頭痛、⑦姿勢によって変化する頭痛、(以下略)
CQI-3 ERでの頭痛診断はどのように行うか
危険な頭痛の存在は、以下の発症や経過を示す時に疑う。
・発症の年齢が5歳以下、または50歳以上、
・過去6ヶ月以内の発症
・5分以内に最強度に達する超急性の経過
・非典型な症状を伴うとき
・頭痛とともに今まで経験したことがない症状が出現したとき
・悪化傾向のあるとき
・局所神経所見があるとき
・神経症状の改善がないとき
・1回限りの症状や遷延する前兆症状のあるとき
・発疹や頭部の圧痛、外傷、感染、高血圧があるとき
など
CQI-7
頭痛診療において、アルゴリズムをどのように使用するか
頭痛診療で最初に行うことは、二次性頭痛の中でも危険な頭痛を鑑別することである。
簡易診断アルゴリズムは実施診療で頭痛診断の手がかりになる有力な手段の一つである。
(強い推奨/エビデンスの確実性B)
図1. 危険な頭痛の簡易診断アルゴリズム
小児または高齢で発症? Yes→危険な頭痛の可能性 No→危険な頭痛でない
😱😱😱
CQI-2もI-3も当たり前なように見えて、でも引っかかります🤔。年齢とか、6ヶ月以内のとか、5分以内にとか、数字がある項目はそれがなければ除外してよいと勘違いする人はいないかな、、、「非典型な症状を伴うとき」は何でもかんでもと言っているようでレッドフラッグにしづらそう、、、等々。
そして、I-7の図1はかなり疑問です。高齢って何歳?Noなら即除外?
二次性頭痛の各論では、オタワSAHルールを説明しています。6項目のうち1つ以上存在すればSAHを否定できないというルールです。オタワルールでは40歳以上であればSAHを否定できないとしています。
各論はきちんと書いてあるから問題ないのでしょうか。
経験のない研修医が総論だけ見て、このアルゴリズムに従って、くも膜下出血を見逃してしまった場合に、ガイドラインのこの部分を根拠に裁判に勝てるのでしょうか。
CQI-7は本当に強い推奨/エビデンスの確実性Bでいいのでしょうか?
私の読み方が悪いのかも知れませんが、知識や経験が乏しい人間が頼りにするのがガイドラインです。
今のままでは間違いの元になるのではないかと、不安に感じます。