コロナ隔離生活中です。

NHK plusで番組見放題が嬉しい。

NHKスペシャル「認知症の母と脳科学者の私」を見ました。

人の感情と脳の働きを研究している恩蔵絢子さんと、そのお母さんのお話。

恩蔵さんのお母さんは、8年前の65歳のときに当たり前にできていた料理をやらなくなりました。

病院に連れて行き、アルツハイマー型認知症と診断されたのが7年前。

恩蔵さんは、『母が母でいられる時間が残り少ないのではないかと怖れを抱いた』そうです。

『母が母でなくなるのではないかと怯えてきた』というのです。

そして『脳科学によって、認知症が理解不可能な像でなく、理解可能な像になる、、、

そういう意味で救いがあった』と述べておられました。

 

恩蔵さんの『怯える』という言葉は、私には衝撃的でしたが、そう考える人がいるのかと改めて考えました。

恩蔵さんは東北大学の加齢画像外来を受診し、お母さんにどのような脳機能が残されているかという話を聞きます。

そして、お母さんの『バカだから』という言葉が自嘲の言葉であると理解し、お母さんに高次的な感情が残っていることを喜びます。認知症のために様々なことができなくなっても、自分や家族に献身的であったお母さんの感情は、まだお母さんの中に残っていると実感します。

恩蔵さんは、とてもとてもお母さん思いの優しい方です。

それはドキュメンタリーを見ていて、ひしひしと伝わってきました。

でも少し一般の人と違うのは、頭部MRI画像の解析により、お母さんの行動を解釈し、お母さんを理解しようとしたところです。脳科学者であるがゆえと言えましょう。

認知症により、恩蔵さんの中で連続性が絶たれようとした過去のお母さんと現在のお母さん。

『母が母でなくなるのではないかと怯えてきた』家族が、脳のMRI画像を解析してもらうことで『完璧だった母から認知症になった母まで、すべてを見届けて、母らしさと呼びたい』と言えるようになったことが、私には「おおおっ」という感じでした。

 

ちょっと大変だけれど、こうした救いが必要な現代人は今後増えるのかも知れない、、、先日泣きながら帰って行った娘さん(この話は長くなるので改めて)を思い出しつつ、そう考えました。