ポール・ハーディング
小竹由美子 訳

ベンジャミンとペイシェンスのハニー夫婦が島にやってきて林檎の種を植えるが一粒も育たず・・・というアップル島の始まりから一気に1911年に

島で生まれ教育を受けてないにもかかわらず聖書とシェイクスピアを愛読というハニー家のおばあちゃんエスターによる洪水話に先ず引き込まれる

何度も語られるその話に耳を傾けるのは 息子のイハ その息子イーサン〜彼だけ見た目まったくの白人 タビサとシャーロットというふたりの娘たち

そんなハニー家をはじめ 島の最年長ザッカリー 夏のあいだ本土からやってきて島の学校で子どもたちを教える牧師マシュー・ダイヤモンド 母のワンピースと父のエプロンのセオフィラスとキャンダスというはきょうだい⁈その四人の子どもたち⁈
帆船に暮らすマクダーモット姉妹はやってきた女が島に置いていった三人の子どもたちを育てている そして一人暮らしの老女アニー・パーカー 

そしてご愛嬌の犬三匹 黒くでっかいグリズリー マスチフには大きなブチ 小さなテリアのフィッツィーたちもしっかり脇を固めている🎶

そんな島の人々については どこか詩篇を読んでいるような雰囲気とりとめなく のところに始終影に怯えるエスターと寡黙なイハ 親子についてハニー家の真実が明かされる❗️

そんなふたりの息子であり孫のイーサンが描く島の景色や鳥や妹たちの描写に救われる そんな絵の才能を伸ばしてやりたいと願うミスター・ダイヤモンド

その計らいで家族を離れミスター・ヘールに預けられたイーサンと女中ブリジット という第2章ではほっこりしつつもエスターが危惧していたとおりの事が起き

第3章 役人ティモシー・ウィットコムがやってきて島の人々の強制退去勧告を
となるのは最初からわかっているのだけれど💦その後の1953年のアイルランド グレート・ブラスケット島も同様 前日読んだ「台湾漫遊鉄道のふたり」と同じような想いに至る
その後のイーサンが描いたと思われる絵画の展示シーンで振り返るときにはすこし反省もあり救われるけど ここまではなくても日々我々の生活の中でも大なり小なりの善意の押し付けをしてはいまいか⁈気をつけなくてはと思った