奥泉光
昭和十年 華族の娘 笹宮惟佐子〜二十歳は 親友の寿子が富士の樹海で陸軍士官の久慈中尉と心中!という唐突な出来事が信じられない
しかも寿子から 会うはずだった松平侯爵邸でのドイツ人ピアニストによるサロンコンサートに行けない旨の 仙台消印の葉書を受け取っていた
そこで惟佐子はかつて“おあいてさん”として笹宮家で彼女の遊び相手をしていた牧村千代子に相談 彼女と独自の捜査を開始する・・・
その後「東洋映像研究所」に女性カメラマンとして働く“職業夫人”千代子は新聞社に勤める馴染みの蔵原誠治に持ちかけ ふたりは仙台へと〜ふたりのその後の発展部分はちょいラブコメ調♪と唯一ホッと一息パート⁈^ ^
ドイツ人ピアニストによる調べは心霊音楽協会へとつながり 元ドイツ大使も務めながらその後一族とは交際のない伯父の白雉博充の関与が伺われたり
父親笹宮伯爵がかかわる天皇機関説 華族と軍部の対立 華族出進の槙岡中尉と貧しい出の久慈中尉との対比 笹宮伯爵夫人のサロンでのマウントの取り合いな会話とか混えながらの心中事件は一転!
仙台から鹿沼の紅玉院の尼へと辿り着き「神人」アメノミナカヌシノカミの血筋の笹宮家の人物は実は⁈と秘密が開示されと 紆余曲折 遂には歴史的事件〜2.26⁈を思わせるクーデターで幕❗️
囲碁や数学が得意で冷静沈着妖気ある美女 惟佐子に我々はもちろん 翻弄される男たち
雨宮家の継母瀧子と その息子ミュージシャンを目指す惟浩 軟派な彼が寮生活によりすっかり洗脳軍国主義になどなど 緻密で重厚な筋立てと細部⭐️
惟佐子の和服のしつらえや あちこちの昭和のかほりも心地良し🎶 炭団 輿入れ 麺麭 蒲公英 三ツ矢サイダーに資生堂パーラー 神保町の喫茶店 漱石の「それから」や「のらくろ」も出て来たね♪
たぐる古文書に あらぁやっぱりもう少し頑張ったらよかった⁈とチョビッとだけ齧ったこと思い出しました💦
いつかどこかだれかの紹介⁈の本作でしたが手応えある一冊でした
「階」には以下↓の意味もあるということ
と題名にも仕掛けあり⭐️
- 高下・優劣の順序。等級。「階級・階層・位階・段階・音階・職階」