ピップ・ウィリアムズ

最所 篤子 訳


1948年 戦争の兆しのあるイギリス オックスフォード大学 クラレンドン出版局に 上司ストッダートやミセス・ホッグ 同僚のルーやアギーともに ミス・ジョーンズこと ペギーと双子の障がいを持つ妹モードは12歳のころから製本の過程の折の作業に勤しむ19歳 


姉妹は今は亡き母親が名付けた“カリオペ”という名の運河に浮かべた🚢ボートに暮らす 時おり訪れる叔母の女優でありサフラジストのティルダ お隣のボートのロージー&オベロン息子のジャックとおばあちゃん


そんな人々に囲まれて 仕事の合間に製本の本を盗み読み 不良本を持ち帰ってカリオペに並べるのが唯一のお楽しみ♪聡明で好奇心旺盛な彼女の学びへの欲求は サマーヴィル・カレッジの学生グウェンに出会ったことで夢と向学心を募らせる


持てるものグウェンへの嫉妬や猜疑心に卑屈になったベルを軽やかにいなすグウェンのおおらかな受容は次第にふたりに友情をもたらしお互いを高め合うことになる



遂に戦争に突入 奉仕活動の病院で重症を負ったベルギー人士官バスティアンとの交流はやがて愛を育み ベルギー難民の 愛する息子や誇りある仕事場である図書館と 何もかも失くしたロッタはモードとのやりとりに慰みを見いだし家族のようになっていく・・・


奉仕活動でフランスに赴くティルダの戦況の模様に 現在起きている戦争が重なると思いながら読んでいたら あとがきに 訳者はこの本の翻訳時 ガサの人の声をボランティア翻訳していたということ パレスチナのガザ地区のイスラエルの攻撃で同じことが繰り返されているのに震撼としました


そんな悲惨な戦争の最中でも 女性の地位や参政権に至る活動や 製本の様子 ジェイン・エアやコールリッジなど本📚や サマーヴィル図書館でのこと モードの繰り返す音楽のような言葉や 格差を表しながらと“ガウンとタウン”韻を踏んだり♪

そしてエリザベス・パレット・ブラウニングの一節のなかの「日が昇りわたしに読ませてくれるまであと一時間!」などにグッときたりして パブ「プリンスオブウェールズ」には行ってちょいと一杯エールを飲みたくなり🍺


勉強嫌いだった私はひたすらがむしゃら勉強のペギーが気持ち良い⭐️そんな私の戯言“英文学専攻しロンドンに留学し 私を呼んで”というのを見事に蹴った我が娘とのことなど思い起こされた^ ^今年暫定一位の一冊でした📖

こんなに好きがいっぱい詰まった本は瞬く間に読んでしまうのに忙しくて かえって味わって読むことが出来てよかったかもとも思いました