ヴァシーム・カーン
田村義進 訳
300年にわたるイギリスから解放の新生インドボンベイの1949年の大晦日 英国外交官ジェームズ・ヘリオット卿が 催すパーティの最中に書斎で死体となり発見される しかも下半身には何もつけず 暖炉には大量の紙が燃やされたあとが・・・
捜査をインド初の女性刑事 ペルシウス・ワディア警部に依頼したのはジェームズ卿の側近マダン・ラルだった
警察組織の内外で逆境に立たされながらも明敏な頭と不屈の精神 揺るがぬ正義感でもっで国家を揺るがす大事件に取り組む
そのペルシウスの尖り方が半端ないのは さびれていながらも特定のひとには需要があるという本屋を営む父親サム・ワディアの影響⁈もあるのだが 今も“琥珀の中の虫”のように父親の中に棲む亡くなった母親サナーズ似だったから⁈
というような母親の不在その原因などラスト近くに明かされる という殺人事件の他にも解かれる謎があったり 何より独立運動の遺恨や共和国会の混沌などインドの歴史や宗教政治経済などの背景がつぶさに語られ奥行きのある物語となっていて例えば
“行政機関は太陽位置ボンベイ時間 公共企業はマドラス子午線インド標準時に従う”その30分の時差があるという時間に対する感覚になるほどと思ったり
警察所マラバール館における 上司セト協力者ビルラ 反発するオベロイ イギリス人法医学者ブラックフィンチたちによる 警察小説の面ももちろん 猫のアクバル ヌッシー叔母のクリシュナ料理 列車での移動の様子やそのとき読んでる本がジョージ・オーウェルの「1984」だったりというのも楽しみながら ラストの真実の行方はまるでネトフリドラマ的⁈今どきのインド映画のよう
予約途切れて読むものが無くて図書館新刊棚の また犯罪かぁ・・だったけど