エリアス・カネッティ

池内 紀 訳


中年の学者キーンはエーアリッヒ・シュトラーセ24番地の自宅にある二万五千巻の蔵書の持ち主 話しかけるのは元警察官の玄関番のみ

図書室などの掃除のため家政婦テレーゼを雇い入れ8年経ったある日 なぜか結婚 その後彼の貯金通帳 即ち財産にしか興味を示さない彼女によって研究生活を邪魔され・・・

という第一部 世界なき頭脳 


続く第二部 頭脳なき世界

チェスにしか興味ないフィッシェルレ 偶然知り合ったキーンをサカナに一儲けしてアメリカに行くことを画策 新聞売り パスポート専門調理師 年金女 などなどが酒場“理想の天国”などで繰り広げられる群衆劇に


第三部 頭脳の中の世界

玄関番ベネディクト・ファッフの独白 娘アンナをポリと呼ぶまで訓練はまるで児童虐待⁈ パリの瘋癲院で院長のキーンの弟ジョルジュの様子とその訪問 

そしてラストの炎上‼️


キーンとテレーゼとの狂気の攻防喜劇でありながらグロテスクな様相ラストあたりはホラーのよう これが作者26歳のときの処女小説というのに驚く 

1905年ブルガリアに生まれ 亡命イギリスに定住 著作はドイツ語だが 15世紀の古スペイン語 ということでなるほど

途中表記 おチャッピーなんて言葉久しぶりに聞いたし 瘋癲院などなど翻訳の妙味を味わいつつ


何時だったかの新聞書評 鼎談の蔵書論で永江朗さんが挙げてらした本作でしたが 久々の二段の500余頁に途中眩暈🌀の貸し出し期限過ぎた一冊でした