深緑野分

 
 1945年7月 敗戦後のドイツ ベルリン
アメリカ軍の慰安用兵員食堂で働く
アウグステ・ニッケルのもとに 
アメリカの軍曹が現れジープで連れて行かれる
着いた先にはソヴィエトのNKVD
そこでかつて世話になった
音楽家 クリストフ・ローレンの死体と対面
アウグステは担当のドブリキン大尉に
殺害の疑いをかけられ
その疑いを晴らすためと
自身にわだかまっていた思いを解決するために
クリストフとその妻フレデリカの甥
エーレヒを探す旅に出ることになる
道連れはその警察署で出会った泥棒で
元俳優のファイビッシュ・カフカ
 
というその後の二日間の道程の
動物園の飼育員 浮浪児 映画音響技師
などかかわる人々を交えながら

合間の幕間 という章で
アウグステのこれまでを振り返りながら
戦前 戦中のベルリンの街や
父 その政治活動仲間 そして母 
ポーランド人孤児  隣人のユダヤ人家族
ダウン症の少女などなどの登場人物も活きいきと
ベルリンに住んでたの?
というくらい☆の街や情景の克明な描写
資料や取材でよくぞここまで書けるものだと!

これまで読んだ その頃を描いた小説のことや
映画の映像を思い浮かべながら
その凄惨な戦争などの様子の中に救いのシーン
アウグステを取り巻く青春小説の趣きもあって
思わぬ結末に導く


年末 かかりのところだけ読んでいて
続き気になりながらもなかなか読む時間無し
昨日一日費やしました♪ぬくぬくところころ
という新年の一冊でした


去年は雑誌も入れるとざっと85冊かな
年始めのあたりの
「ボヌール・デ・ダム百貨店 」エミール・ゾラ
再読の「細雪」谷崎潤一郎 
「金閣寺」三島由紀夫 「金閣炎上」水上勉
あたりがとても印象に
年の終わりの
「初夜」イアン・マキューアン
「リスボンへの夜行列車」パスカル・メルシェ
「双生児」クリストファー・プリースト
「チューリップ熱」デボラ・モガー
など好きなタイプのが目白押し♪でした

さて今年はどんな本に☆出逢えるかしら♪