宮菜穂子オフィシャルブログ「菜時記」Powered by Ameba -1863ページ目

ふくろう

とある方に、祖父の作ったふくろうの置物をプレゼント。

ふくろうは、不苦労であり福来郎だよ、とメッセージをそえて。

先日、海の向こうからお返事のカードが届き、

なんだかこの梟はわたしにウィンクしてくれてるような気がする、と。


私の机の上にも、その鉄器でできた小さな重い置物はのっかっているけれど、

この数十年そんなにチャーミングな見方をしたことがなかった。

さすが海外の方のユーモア。

しかし、言われてみれば、私のも、半眼なぞで、瞑想をしているようにもみえる。


ふくろうについて少し。

神話好きとしては書かずにいられない。

そう、ミネルヴァのふくろう。知恵の象徴ふくろう。

「ミネルヴァのふくろうは迫り来るたそがれを待ってはじめて飛び始める」というヘーゲルのことばのとおり。

ギリシャ神話の女神のひとり、アテナ(ローマ神話ではミネルヴァ)は、戦争、知恵、学芸、工芸、医術などをつかさどる神。

多くの美術作品の中で、彼女は頭に兜をかぶり、手に槍と楯を持ち胸に防具をつけている。

これは戦争の女神としての象徴。

そして、壷絵や硬貨等に描かれているように、手にふくろうをもつこともある。

これが、知恵の女神としての象徴のふくろう。


ふうむ。


ふくろうについてもうひとつ。

「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」という本(岩波文庫)。

これ最近読んだ中の大ヒット作。

中世ドイツに実在したといわれる、道化のお話。

決して高尚なお話ではなく、彼の毎日の生活のお話で、排泄物のおはなしばかり。

それを食べただの舐めただの。

(・・・・ひいてしまった方ごめんなさい。何もそういう読書傾向があるのではないのであしからず)

つきつめれば、当時の世相や風刺がいっぱいなお話。

当時の生活や人々の思考回路が手に取るように伝わるので、とんでもなくおもしろい。


そこで、意外な事実を発見。

オイレン(Eulen)はドイツ語でふくろう。

シュピーゲル(spiegel) はこれまたドイツ語で鏡。

つまり、「ティル・ふくろう鏡君のゆかいな冒険}という作品だということ。

なぜゆえに、この名前?!

やはり古来からのいわれ通り、「知恵の女神の使いとしてのふくろう」、が、

ドイツの道化になりかわって社会批判をする、という意味があるの?!

と、驚いて、面白くて。

こんな単純なことで、私は一日中わくわく過ごしてしまうのであります。


長々書いてしまいました。

つまり、ミネルヴァの話しかり、ティル君の話しかり、

ふくろうというのは本当にたくさんの想像をくれる生き物だなぁと思うのでした。

そう、オフィーリアだって、こんな不思議ないこと言ってますもん。

”the owl was a baker's daughter.”


これからは机上のmyふくろう君に、少しやさしく接してあげよう。