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@尼崎

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創立何十周年という記念の行事として、
「おもひでぽろぽろ」を上演してくださる、
そんな各地にもおじゃましています。

終演後、代表の学生さんや、
校長先生とお話しするなかで、
その学校ごとの
雰囲気や指針がみえてきて、
「学校公演」がしたいために、
このおもひでぽろぽろのお仕事を受けたわたしは、
とってもありがたく感じます。

学校公演、つまり全国の劇場で、
地域の高校生や中学生その関係者の方々を対象に公演をする、
私にとっては初めてのことです。

普段東京では、チケット争奪戦のはてに、
万を時して観にきてくださるお客様の前で公演する。

学生さんたちは、
とっても楽しみにしてくれてた人、
試験前でおネムな人、
劇場という場所が初めて色んな興奮をあらわにする人、
ちょとお喋りに夢中な人、
一般の、チケットを買ってきてくださる方とはまた違う、
色んな学生さんなりの状況下での観劇タイム。

こちら、学ぶことがたくさんあります。

ピリリと静まり返った客席でも、
キャッキャとした客席でも、
集団ではなく個々の気持ちがこちらに
逐一伝わります。
じぃっと物語に入り込む瞬間、
気持ちが離れてしまった瞬間、
照れ臭いと感じている瞬間。

不思議なことで、
手に取るようにわかるのです。
そこに居るエネルギーが。
そのエネルギーの方向が。
こっち向いたりあっち向いたり。

けして盛り上がるお話ではない、
フツーのどこにでもあるスローなおはなし。
トシオさんとタエ子の淡い感じ、
そう、水彩画のようなこの舞台は、
今の時代にはすこしボンヤリに思えるかもしれません。

でも、そんな時間もたまには。
生きている人間が、
生きている人間の前で、
生きようとする人たちを、
演じる。

そんな劇場体験が、淡く心の何処かに、
刺さらずとも触れる瞬間があれば。

またいつか社会に出て、
劇場という場所のあることを、
思い出してもらえたら。

劇場での時間は、
我々役者とスタッフがつくるのではなく、
客席に座る人たちがいて初めての生まれる、
一緒につくる時間。

電車やバスは乗れば運んでもらえるけれど、
劇場では全員がドライバー。

昔、「ナイン」という作品を演ったときに、
デイヴィッド・ルヴォーという演出家が言ってました。
キャストに向けてですが。
プリンシパルもアンサンブルも、
誰もが必要なひとりであり、
乗客ではなく全員が常にドライバーなのだと。

「おもひでぽろぽろ」、
まだまだ続きますよん。
今月は11/16に東京・西新井でも。
みなさまぜひ。




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