@盛岡 | 宮菜穂子オフィシャルブログ「菜時記」Powered by Ameba

@盛岡

「おもひでぽろぽろ」@岩手県民会館(学校公演)

$宮菜穂子オフィシャルブログ「菜時記」Powered by Ameba-__.JPG

わたしにとって帰省=盛岡=おばあちゃん家でもあり、
今はおじちゃん家となっている「釜定」。
そのお釜屋さん「釜定」の目と鼻の先にある劇場が県民会館。

いつかここの舞台に立つ日が来るかしらんと思っていましたが。
10年越しです。
以下まったく個人的なことを記しますが。

「おもひでぽろぽろ」は、
都会の女の子が「イナカ」の人々や自然に触れて気づいてゆく物語。
「イナカ」とか「ふるさと」という言葉を舞台ではっするたび、
「ここはわたしの故郷みたい、東京よりずっといい」と歌うとき、
とっても新鮮な気づきが私のなかでありました。

わたしを支える肉が、土の重さにとってかわったような、
サラリとした語感のうらに、
目にみえない空気の重さをまとうような、
場面場面ではっされる言葉にあらためて気づかされることがありました。

幼いころから両親に連れられて歩いた、
岩手山や八幡平、早池峰山、岩山、姫神、南昌山…
ハタチをこえてから自転車で走り回った
小本街道、宮古街道、遠野街道、たくさんの町。
2011年以降訪ねた三陸の町。

特に意識することなく、
むしろ前回の八戸公演から二週間あいて、
久々のカンパニーとの再会とともに緊張してのぞんだ公演。
それなのに、
舞台からみた客席、
そして舞台上の床は、
たくさんの記憶の粒子が飛び交っていたように思います。

思い出、とは少し違う。
土地が奏でる細胞の記憶、というのでしょうか。

わたしが生まれ育ったわけではない、
両親のそのまた両親たちが代々生まれ育った土地。
それでも、遺伝子のなかに、
ご先祖がみてきた風景や匂いはくみこまれているのでしょうか。

そういえば母は昔、公会堂でわらび座の公演をみたことがあると言っていたっけ。
観劇してくれた高校生たちもいつか、
おとなになって子供たちに今日観た話をする日がくるのでしょうか。

そんなことを帰りの新幹線で思いました。

もうすぐ一周忌のおばあちゃんが生きていたら。
ふと思いました。
photo:02



旅公演先で、タエ子の旅と同じように私自身旅をする。
たくさんの人に支えられながら一緒に舞台をつくる。
いち分子となる。
劇場に集うお客さん、
芝居をつくるスタッフ、キャスト、
現場にはいないたくさんのスタッフ。
いちいちありがとうしてたらきりがない。
けれど、いちいち言いたい。

旅は続きます。

次は北海道。