大川の匂い | 宮菜穂子オフィシャルブログ「菜時記」Powered by Ameba

大川の匂い

3月にはいってから、
急に風向きが変わり、
江戸なものが読みたくなり。

本棚にあったこの一冊を。
持ち歩きで表紙がぼろぼろになるので、
いつもその辺の紙をカバー替わりにします。
ささやく河―彫師伊之助捕物覚え (新潮文庫)/藤沢 周平

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元岡っ引き、今は版木掘り職人の主人公が、
刺殺された男の行方を探ってゆくお話。
読み終えて、
静やかな語り口と、
会話文の鮮やかさと、
人間のはかなさに胸打ちつつ、
江戸の町をここかしこと歩き回る主人公が、
あちこちで食べる蕎麦、いただくお茶、
そしてながめる大川のいただきにつつまれました。

けっしてみたことはないはずの風景、
そしてかいだことのない江戸の匂いが、
なぜか顔が浮かんでしまう登場人物とともに、
じんわり染みわたってくる、
それが藤沢文学だなぁと、
あらためて思ったのでした。

あとは、こまつ座を観に行く前に、
ふと手に取ったこちら。
いまさら?と自問自答しつつ、おもしろく拝読。

手鎖心中 (文春文庫)/井上 ひさし


そして、あまりに分厚いので
なかなか手を付けていなかったこの本。
有吉佐和子の「日本の島々、昔と今」。
これは、語ること多しです。
また別の機会に。
日本の島々、昔と今。 (岩波文庫)/有吉 佐和子


あとは、戯曲をいくつか。
いい加減本棚から読みあさるのをやめて、
本屋さんに積んであるハードカバーも買いたいんですけれど。
ま、まだいいでしょう。