この数日に読んだものたちのいくつか。 | 宮菜穂子オフィシャルブログ「菜時記」Powered by Ameba

この数日に読んだものたちのいくつか。

天に遊ぶ (新潮文庫)/吉村 昭


ご著書全部を読んでいるわけではないけれど、
あの吉村先生が、
このタイトルどおり、遊ぶように短編を書かれてる。
本当に短い物語のなかに、
人と人の間のものが、風景が、情景が、
ときにゆっくりと、ときに刺さるような速さで目の前へ。
ある種、ゆだねられたような、
その登場人物が読み終えた後に、
ふっとよりかかってきているような、そんな後味。

怠けものの話 (ちくま文学の森)/著者不明


ちょっと時間ができたもので、
ふと手にとったこの本。
魯迅、モーパッサン、ドストエフスキー、
谷崎、坂口安吾、幸田露伴・・・
それはそれは多くの作家が、
いかに自分が筆を執ることに怠惰であるかに、
原稿用紙を費やしています。

この中の、太宰治の「懶惰の歌留多」、
山本周五郎の「よじょう」は秀逸でした。
塩辛を食べた後に舌に残る、
あの絡みつくような感じと極上の旨味、
そんな感じが、読み終えたあとにのこりました。

寺山修司全歌集 (講談社学術文庫)/寺山 修司


あとは、いまさらかよ、
ということで。
読みさしのまま、くるみ割り人形に突入したので。
歌というのは、凝縮された時間そのものだなぁと。
そして、
演劇にたずさわっていながら、
触れてこなかったこの人の世界を、
今この年になってひらこうとしていることに、
少しの驚きと、わが興味への行く先を考えつつ。

寺山修司青春歌集 (角川文庫)/寺山 修司


書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)/寺山 修司