野田地図『南へ』  | 宮菜穂子オフィシャルブログ「菜時記」Powered by Ameba

野田地図『南へ』 

野田地図『南へ』@東京芸術劇場中ホール
作・演出 野田秀樹
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内容を全く知らないで行ったので、本当に驚きました。
今この時に自然災害にまつわるお話。

舞台は火山観測所、噴火の危険性のある火山の麓。
予兆である地震が相次いで起こり、
そこから時空を飛び越え、
大衆、マスコミ、嘘、象徴性、天皇制…
危機を前にした時の、さまざまな人の有り様は
時空をこえても共通。

シンプルな道具とあとは人の力で、
時をこえ、空間をこえてゆく。
すさまじい人の力と想像力。

日々のニュースとはまた違った意味での、
「ニュース」を体感したような気になりました。
その「ニュース」とは、
いま生きる、ということ。
いま生きている、ということ、と言ったほうがいいかな。

ここに立っているのだよ、
という見えない歴史上の点を見た、というか。
そして、縦横軸上のその点から、「いま」という点を、
遊びながら結んで、
その結び目の具合は、あなた方にまかせる、というか。
足を踏む大地を指さしていただいたというか。

そう、観終わった後、
地に足がついた感がありました。

演劇に関わるものとして、
ちょっとそれを忘れかけていたものへ、
演劇を通して、あるべきこと、すべきことを、
指南されたようでした。

なんと面白いと言っては、語弊があります。
なんて有難い、貴重な作品に出会ったのか、
という心持です。

いま、
我々が心に針ピン指しておくこと、
それがあった気がします。