御柱祭  | 宮菜穂子オフィシャルブログ「菜時記」Powered by Ameba

御柱祭 

元シアターガイドの編集長、今井さん。
昨年から生まれ故郷の松本に戻ってお仕事されています。
その今井さんから、御柱祭おいでよ、と。
今井さんからつながる十数人が集結。
もちろん、その中に知り合いは一人もいません。
ちと不安な朝の下諏訪集合でしたが、なんのなんの。
夜には祭りの興奮で、すっかり皆仲良しでした。

信州・諏訪大社での七年に一度のお祭り。
諏訪地方の6市町村21万人の人々がこの日のために、
集う大きなお祭り。

重さ10トンを超える巨木を山から切り出し、
人力で引っ張り練り歩き、時に急な斜面を(木落とし坂)落とし、
最後に大社(春宮と秋宮大社)の四隅にその御柱を立てる(健御柱)。
我々は、この行程の中の下諏訪町での下社の山出しを見学。

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今井さんの地元のご友人は、屈強な祭りの担い手。
その方たちに軍手とハッピ借りて、春宮三之御柱に加わりました。
木遣りの掛け声と、
数キロに及ぶ柱の引き手のハッピ姿の人たちの掛け声と、勢い。
赤ちゃんからじいちゃんまで皆が一体。
町全体が生き物みたいです。
ハレの日とはこういうことを言うのだ、と身体をもって体感。

100m続く急な斜面をいざ落とすという段。
崖の上に御柱がせり出します。
脇の斜面から見守りました。
様々な儀式の後、木遣りの掛け声とともに、
巨木と巨木にまたがった若衆が地面をゴォォと滑ってゆく。
大きな大きな野外劇場。
またがる男、むらがる男、土まみれの男の声。
そしてそれを見守る様々な人たちのなんともいえない声。
木よ森よ自然よありがとう、でした。
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一日に3本落とすというこの巨木。
3本目は、下から見学。
斜面をハの字にうめ、その中心に巨木。
木を落とすその瞬間にかけられる掛け声と蠢くリズムは、
今にも山を飛びたたんとする、一羽の鳥のようでした。
あるいは山の神の股座からの出産のようでもあり。
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「男見るなら七年一度、諏訪の木落とし、坂落とし」
という歌があるそうですが、まさにその通り。
山河、男讃歌です。

得も言われぬ貴重な体験。
東京から突然押しかけてしまったよそ者ですが、
ありがとうございました。