『麦ふみクーツェ』 | 現在と未来の狭間

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文芸と自転車、それに映画や家族のこと、ときどき人工透析のことを書きます。

主人公は「ねこ」と呼ばれる少年。音楽家の祖父と数学教師の父と三人で、とある島で生活している。小さな頃からクーツェの麦ふみの音と不思議な言葉が聞こえていて、それは少年へ何かを告げようとするメッセージとも取れる。でも大概は意味不明。祖父は島の吹奏楽隊の指導をしていて、まるで下手くそだった楽隊を表彰されるほどに育て上げた。少年のパートは猫の鳴き声。猫よりも猫らしいと評判になる。ある日、島に大量にねずみが降るという事件が起こり少年の声はねずみ狩りに利用されるのだが、これが大変な事件へと発展して…。

いしいしんじさんの真骨頂的な作品。書かれている文章が頭の中にすんなりと染み込んでくる文体で、最初に読んだ時は目から活字が入ってきて頭の中にテキストのラインが流れ込んでくるような感じがした。読み返して思ったのは、漢字とひらがなのバランスが良いということ。作者は意識して書いているんだなと思う。

上記したのは断片的なストーリーで作品全体としては、人とは少し違っている少年が自分の進む道を模索しながら成長していくおとぎ話だ。

今日読んだ時はテキストラインが流れ込んでくる感覚と同時に、自分の創作のイマジネーションが流れ込んできた。ぶつ切りのセリフや新たな登場人物や性格描写、そういう物が流れこんでくる。
『いたんはりんか』の続きがやっと書けそうな感じ。

本当はこういうことは作品の冒頭で述べるんだけど、もう1話目を書いちゃったし、他では書けそうもないのでここに記しておく。

『いたんはりんか』この作品を高校時代に出会った、今は亡き、ーそうか君は上の名前はきらいだったよね。ーゆみさんに捧ぐ。やっと君の話が書けそうだ。

では、本編は明日以降。