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中国の伝統音楽やオペラには、バリトンやアルトといった西洋音楽の声域に相当する概念は直接存在しませんが、中国独自の声類分けがあります。特に、中国オペラではさまざまな声のタイプがあり、それぞれ独特の役割や性格を持っています。中国オペラの主要なジャンルの一つである京劇(ジンジュ)では、主に次のような声類が存在します。

 

1. 生(ション) 男性役を演じる俳優で、さらに細かく武生(武術を得意とする役)、文生(知的または文学的な役)などに分かれます。

2. 旦(ダン) 女性役を演じる俳優で、この中にも若い女性役の花旦、年配の女性役の老旦などがあります。

3. 净(ジン) 顔に特徴的な化粧を施した男性役で、しばしば力強いキャラクターや悪役を演じます。

4. 丑(チョウ) コミックリリーフや悪役の側近など、主に滑稽な役割を演じる俳優です。

 

これらの声類は、西洋音楽の声域(ソプラノ、アルト、テノール、バリトン、ベース)とは異なり、役割や性格によって分類されており、声の高低よりも演技スタイルに重きを置いています。しかし、演じるキャラクターによっては、高い声を出す「生」や、より低い声を用いる「净」など、声の高低を使い分ける場面もあります。

 

したがって、中国オペラでは西洋のオペラのような明確な声域に基づく分類はありませんが、役割や性格に応じた独自の声類分けがあり、それぞれに合わせた歌唱法や演技法が発展しています。

中国オペラの起源は非常に古く、約1000年前の北宋時代(960年-1127年)にまで遡るとされています。しかし、現在知られている形式の多くの中国オペラ、特に京劇(ジンジュ)は、より近代の明末清初、大体17世紀頃に成立したと考えられています。

 

最初の中国オペラは、歌、踊り、語りによる民間の娯楽から発展しました。これらのパフォーマンスは、宗教的な祭りや民俗的なお祝い事で行われ、徐々に専門的な劇団が形成され、複雑な物語やキャラクターを取り入れるようになりました。

 

特に、京劇は中国オペラの中でも最も有名で影響力のあるジャンルの一つであり、その成立は清の康熙帝の時代(1662年-1722年)に「四大徽班」と呼ばれる安徽省出身の劇団が北京に招かれたことに始まります。これらの劇団が持ち込んだ芸術形式が北京やその周辺で人気を博し、次第に京劇として知られるようになりました。

 

京劇を含む中国オペラは、その後も発展を続け、清代を通じて様々な地方の要素が取り入れられ、現在に至るまで中国文化の重要な部分を形成しています。