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その酒場は二階の奥まった
所にあり、昨夜行けば店の
前で客ふたりが待っている。

ドアノブを回しても開かず
客がノックしても反応なし。

扉の隙間から光が漏れ水音
が聞こえる。洗い物で手が
放せないのだろうと地上に
降りてメールを打った。


「すぐ行きます」と返信が
あり、開くまで隣の店で
ビールを飲もうと中に入れ
ば当の店主がいる。

てっきり店の中かと思って
いたので訳を聞けば電気の
修理人を待っているのだと言う。


作業は店に入らずできるそう
で、私が電気はもう点いてた
けど中で水仕事してる人は
誰なのと訊ねればそんなやつ
はいないと言う。

あの気配はなんだったのか。


と隣の店の主人があそこで
飲んでいる時、ひとを見たと
言う。傍らの奥方も頷く。

働く店主の傍らにいてカウ
ンターを出入りしており、
臨時のアルバイトかと後で
訊ねればやはりそんなやつは
いなかった。

おそらく生霊なのでしょう。


二階の店に戻れば誰もおらず、
ほっとすると共にがっかりも
しました。