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昼下がりの地下鉄駅で
見かけたおじいさんは
そう呼ぶのが失礼なほど
頑強な体つきをしている。


ガチリとした短躯にTシャツ
と短パン。光を反射する素材
の襷とリストバンド、アーム
バンドを装着。

まだ陽が高いのになんで
だろう。


電車が来て同じ車両の左隣
におじいさんは座った。

間近に見ると毛根衰えず
ボーボーと毛髪生え、鼻毛
もまた力強く飛び出している。


向かいに座るのは女学生
ふたり。十五くらいか。

鞄にドナルドとデイジーの
ぬいぐるみキーホルダーが
ぶる下がり、それを指差し
つつ、彼は女子にオスメス
と声をかけた。


騒音でよく聞きとれないが
そうやってオスメスが
はっきりしているのは
よいことで、君らは青春
時代まっさかりであり、
今は君らの時代で、けれども
夜は気をつけないといけない
と、くだけた口調で言う。

同棲結婚というフレーズも
飛び出す。

見れば時折向かいのシートに
身を伸ばしてキーホルダーを
指先でつんつんとする。


いくつくらいだろう。

きっと七十五は越えている
はずの彼は全くの現役であり、
事情が許せは下車して子作りを
開始するにちがいない。


なにがびっくりしたかと
いえば、女の子たちは動じ
ないばかりか楽しげに笑って
いる。

東京なら通報逮捕裁判投獄
でしょう。

どんな年寄りにもなんと
なく大事にする美風が
福岡にはあります。