松尾スズキの小説
「私はテレビに出たかった」
まだ読んでいませんが実に
いい題名で、そういえば
私もテレビ出演を希望して
いた。
なんでもいいんです。
犯罪報道以外ならクイズ、
バラエティ、スポーツ実況
どんと来いで、とりわけ
特撮ドラマに出たい。
怪獣に襲撃され逃げ惑う
市民A、お巡りさんに異変
を通報するも相手にされない
子供、怪人の溶解ガスにより
全身がドロドロになる酔っ払い
役などやってみたかった。
いつごろからかテレビへの
憧れはなくなって、先日
街頭インタビューされた時
は走って逃げる。
藪から棒にカメラとマイク
を突きつけられたら誰だって
嫌だろうに、彼奴は躊躇がない。
まだ「出してやる」くらい
の気でいるのでしょう。
本人の意志と関係なく
テレビに出るというと
国営放送の子供番組。
オムツがとれたくらいの
チビどもがおにいさんの
踊りに合わせて飛び跳ねる。
その中に二人三人スタジオ
の片隅で棒立ちしている子
がいて、彼らは私だと思う。
他の子らが楽しげだから
よく目立つ。
どうか踊るふり、いや
ジャンプ一回でいい、動け
と祈るも結局おねえさんに
背中を押されのろのろ退場
します。
