本格中華の店に行くと
ラーメンなどない。
しかし漢字四文字の
汁そばはある。
丼は大きく重く、側面は
丸く、触れれば熱い。
手に持って食べることが
できない。
汁を飲む時、散り蓮華を
使わず直に行きたい私は
物足りず、といって小さな
椀に取るのもいやだ。
みみっちい上、すぐ冷めて
しまう。
みんなで分けて食べるのが
前提なのは知っている。
しかし自分は御一人様で
あり、こんな時つくづく
ラーメン丼がなつかしい。
家で即席麺を茹でる。
一つしかない丼は黒く
円柱に近い形をしている。
うどんそばならしっくり来る
がラーメンはダメで仕方なし
に鍋のまま食べればとても
さみしい。
だからもちろんサラダボウル
もビールジョッキも不適で、
ラーメンはラーメン丼にて
食べなくてはなりません。
家から歩いて二十分の定食屋
はライス大盛の上に特盛がある。
ラーメン丼に入れて出すの
だけれど、テーブルに佇む
様は馬鹿丸出しで、後悔と
よろこびが交錯します。
