突然冬に入った福岡。
風は強く、おまけに雨まで
降るからたまらない。
こんな時は鍋がいいけれど
この地に来て十年、まとも
に食べたのは片手で足りるほど。
福岡に上陸したての頃に
あら鍋、あとは呼ばれて
行った家でモツ鍋、すき焼き。
親がこちらに来た時は
佐賀の旅館でフグ鍋。
フグは干物のように
カラカラであった。
大人数の飲み会で出る鍋は
遠慮が先に立ち食べた気が
しない。
思い返せば、店で誰かと
差し向かいで鍋をつつくの
は一度きりです。
鍋があり火が点いている間
は何かしら面倒を見なくて
はならない。
食べ頃をよそい、具を足し
火力を調整する。
そうしながら飲食し喋れば
なんだか分からない内に腹
は一杯になっている。
適当にぽつぽつ摘める鍋は
ないものか。
湯豆腐は主役が決まって
あとはネギくらいだから
鍋の世話は簡単だけど
ふたりで囲むにはちょっと
渋すぎる。
うどんすきは色気がないし
しゃぶしゃぶは鍋と言い難く
土手鍋は重い。
ここはやはり鴨鍋がいい
のではないか。
蕎麦屋の鴨鍋は具がさほど
多くないから世話に追われず
ゆっくり味わうことができます。
