高級専属ヘアスタイリストが
いる立場にありながら暑さに
負け、近所の千円カットで髪を
切ってしまった。
昨日ひさしぶりに会った友達
にしみじみと「毛、なんとか
したら」と言われたのが堪えた
のもある。
昨年の十一月にカットしたのが
最後だから髪はたいへん伸び、
なのに薄いとこは一向に濃く
ならずむしろ難点を際立たせ
ていた。
朝のヘアサロンは空いていると
思えば自分が入って五人ドドっ
とやって来る。
美容師のおねえさんは近頃
午前中の客が増えた、早い
うちにさっぱりしたいんで
しょうねと言う。
眠らず店に行ったので鏡の中
の私は三重瞼になっている。
目は血走って、なのにとろん
として人畜無害の面相とは
言い難い。
髪を切ってドライヤーで
毛を吹き飛ばす時、温風が
耳穴を直撃した。
あまりの気持ちわるさに
チンパンジーの断末魔
みたいな顔になり、それを
見てますます嫌な気分になる。
一瞬だったらいいけれど
五分吹きかけられたら気が
狂うでしょう。
