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継母が子供時分の話。

通学路を歩いてふと空を
見上げると雲間に緑の色が
見えた。

目をこらすとそれは浮き島
でたくさんの樹が生い茂り
空の青、雲の白、樹の緑が
忘れられないと言う。



母は子供の頃、夜明けに
寝室の窓から円盤を見た。

葉巻型の円盤は庭に浮かん
で静止している。

全長は十メートル以上、
なによりその大きさに母は
驚いたそうです。



昔やっていた喫茶店に
五十代の婦人がやってきた。


その客が最近龍に乗ったと言う。

びっくりしました。


聞けば日本には魔女の結社
があり、師匠と先輩三人で
富士に行った。

山の上で師匠が祈ると体は
風にさらわれて、気付けば
三人とも龍の背中に乗って
いたという。

空の上を長いこと飛び回った。


龍はどんな姿なのか聞くと
透明で見ることはできなか
ったけれど飛行中スピード
が出ていたから、たてがみ
を掴んだそうです。


空を昇って降りジェット
コースターみたいで楽しか
ったわ、とご婦人の語り口が
あんまり普通で印象に残って
います。