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ここ二三日、真夜中になると
公園へ行く。

あまりの湿気で部屋に居る
と体がゲル状になりそうで。


公園には大きな人工湖が
あり水面を渡る風が涼しい。

ベンチでじっと携帯をいじる
うち体が冷えてくる。

湖を中心にぐるりとジョギ
ングコースがあり、午前を
すぎても結構走るひとがいて
そんなにさみしくない。



おばけはいまのところ見ない。

湖の中央に浮島が三つあり
橋が掛かっている。

岸から島を見るとベンチに
白い人影がふたつ、橋を
渡ってみると誰もいない
なんてことはあった。



昨晩涼んでたら左側から
声が聞こえる。

大きな植え込みがあって
様子は見えない。


ふたりで話していると思え
ば独り言で、何ものかを
説得しているようだけど
はっきり聞き取れぬ。

「裁判所」「油を売る」
「ごめんなさいと言えばいい」
など断片が耳に入って三十分
ノンストップ。何だか腹が
立ってきた。


よしおれがおばけになろう
と思い「ふしゃー」と口から
空気を吐き出す。

最初は低く小さく、徐々に
ボリュームをあげていくと
話は止む。

しばらくするとまた始まる
から今度は「こおぉぉぉ」
と言う。止む。


何度かそれを繰り返すうち
ぴたりと声は聞こえなくな
ったが、同時に人の気配も
消えてしまった。