猫の手七月、実家のソファーで座ったままで眠る。睡眠は出だしが肝心で、この時はゆるい坂を滑るように寝た。どのくらい経ったか、背もたれに動く気配がして、それから何かが私の額に触れた。ゆっくりおでこを肉球で押す。少しはみ出た爪は食い込むかと思えばそのままで、四月に亡くなった猫はそれほど私のことを嫌っていなかったと知る。葬式のあと、しばらくは居間をうろついているようだったが八月に入りぱったり気配がなくなってしまった。