昼、友達と広尾を歩いた。


住宅街に見慣れぬ車が
止まっている。

中くらいのタンクが載って
ホースが付いている。


「ひょっとしてバキューム
 カー?」と私。

「うん」


「間近で見たの初めてだ」

「俺はあるよ」


「でもなんでここに」

「ん~」

車は無人でマンションの
前に止まっている。


「ひょっとしてブルジョアの
 行き止まりかね?」

「へ?」

「ほら、金持ちがわざわざ
 薪ストーブ買うみたいな」

「あー」


「で水洗やめて汲み取り
 にするとか」

「うん」

「それが最先端みたいな」


「でも匂い無かったね」
「ぜんぜんしなかった」



歩きながら何故あそこに
あの車があるのか考える。


「あ!秘密兵器かも」

「ん?」

「ほら暴力団の人って
 黄金撒くらしいのよ」

「いやがらせに?」

「うん、店に撒かれたら
 当分商売できなくなる」

「たまらんね」


少し経って友達が、
「そーいえばさ」

「うん」

「あのマンション、貼り紙
 されてたんだよ、前」

「どんな?」

「『約束は守りましょう』
 って」

「こわいね、なんで?」

「建築前に高さで周りと
 揉めてね、一応低くするっ
 て話で納まったけど、結局
 そのまま建てちゃった」

「じゃ、それを恨む近隣
 住民の仕業だね、きっと」

「効果抜群だわ」

「うん、どきどきする」


そのあと友は山道で車を
横転させた時の話をして
くれました。

わりと車って簡単に転がる
もんらしいです


08/08/18