炎天下を歩き、汗をかいて
喉カラカラ口は粘るが水分は
採らない。



夕暮れを待って目につく居酒屋に駆け込み

席に着く前、注文聞きに来る前「生ビール!」と叫ぶ。


頭の中は冷たい黄金色と白の
泡立つ酒でいっぱい。

早く飲みたい。




ジョッキ来る。


ぎゅーーーーっと飲んで、
異変に気付く。


ほんのりヨーグルトと雑巾の
香り。

ジョッキを見れば白く小さな癜が

踊っている。



ビアサーバーを掃除しないから
パイプにバクテリアが湧いて、
すっぱいビールになるのだ。


幸せの絶頂から一転、ドブ川に
叩き込まれた。

しかも脳天から真っ逆様に。




こんな経験は数えるほどしかないですが

サーバー管理が不徹底な店、多いです。



そういう店に限って、ジョッキ
凍らせたりする。


そのジョッキが微妙に小振り
だったりする。

メニューが筆文字で、みつを流
だったりする。

鳥の唐揚げに余計なことしたり、

フライドポテトが熱くなかったりする。




…あ、もういいですか?

とにかく、ビールに対する姿勢が半端な店は

全てにおいて半端になりがち、と言いたかった。



本日は、まずいビールの三大条件
についてのお話です。





第一は、古いこと。



以前二、三年ケースに入れたまま

ホコリかぶったやつを飲んだ事があります。



炭酸も立ち、苦味もあるけど
スッカスカ。

ビールの幽霊、って感じ。


生前の面影が残っているから、
香りのなさや喉ごしの悪さが
際立って、実にさみしい味です。



缶ビールは一年ものしか飲んでませんが、金臭い。

アルミを粉末にしてビールに
混ぜたよう。

口の中がロボットになる味。





第二の条件は、ぬるいこと。



仕事がらみの酒席。


本格的に酔っ払っちゃいけない
からビールで通す。


この状況がすでにビールをまずくしている。



そこに持ってきて、相手が気遣いから

しきりに飲みかけのグラスに注ぎ足す。

気の抜けた、まだ半分残った
グラスに注ぎ足す。



はっきりぬるい訳でもなく、
決して冷たくないビール。

荒く注いだシャボンの様な

泡が、苦みを強める。

注ぎ足しに用心しつつ、苦水を
すする。


で七分目で、また注がれる。
もうやめて…、と思う。





第三の条件。

それはグラスが小さいこと。



よくメーカーがおまけで配る
ビアタンブラー。

略してビアタン。



こちらはゴクゴク飲みたいのに

すぐなくなる。

洒落たつもりか、それをさらに
小さく細身にしたグラスすら、
ある。


実に不愉快な代物で、ああ今
喉を通ったな、と思えば終了。



それに輪をかけ具合の悪いもの。

時々、定食屋でビール飲むと、
お冷やに使うプラスティックの
コップが出てくる。




うすーく紫がかって、軽くって、

長年使ったもんだから傷だらけ。

これなら両手で受けて、啜り飲み

した方がマシです。




以上の三条件をを総合すると、


「三年間、日なたに放置した
 缶ビールを、使い込んだプリン

 の容器で、二十秒に一回注ぎ
 足されながら飲むビールが最もまずい」

と、いう結論に辿り着く。

ここまで行くと、逆に飲んでみたくなります。


[ お酒 ] 07/07/12 (木)